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標本の作り方3 液浸標本

 チョウやガの幼虫,ヤゴやカゲロウの幼虫などの水生昆虫などは,昆虫の中ではとても柔らかく,上の述べたような「そのまま乾燥」の方法では,縮んで干からびたようになってしまうので,標本としてはよくありません.そこで,これらは腐らない液体につけた状態でおきます.
 液体としてはエチルアルコールを使うのが最も簡単です.薬局に消毒用のアルコールが売っていますので,それを用います.無水アルコール(99%以上)ではすこし濃度が高く,固くなってしまうので,70から80%ぐらいに薄めるか,すでに薄めてあるものを購入します.
 アルコールは置いておくと,すぐに蒸発してしまいますので,保存には口のパッキングがしっかりしたものを用います.昆虫のように体サイズの小さなものは,普通はスクリュー式のガラス瓶を使います.フィルムケースやシール容器では気密性が低いことがあり,気がついたときにはカラカラに干からびているということにもなりかねませんから,あまり使わないほうがよいでしょう.
 そのほか,保存液には色落ちを防いだり,内部組織などを調べるための専門的な液体もあります(グリセリンアルコール,カルノア液など).色はコレクションには重要な要素なので,必要な方は使ってみてください.