指定管理者制度の導入にあたって
大阪市立自然史博物館館長 山西良平
当館においては本年4月1日より指定管理者制度が導入され、財団法人大阪市文化財協会による管理・運営が始まりました。
この制度は地方自治法第244条の2第3項「普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であって当該普通地方公共団体が指定するもの(指定管理者)に、当該公の施設の管理を行わせることができる」との規定に基づくものです。
昨年、大阪市の方針に基づき当館にもこの制度が導入されることになり、そのために9月の市会において大阪市立自然史博物館条例が改正され、以後、指定管理者選定の手続きが進められました。この手続きは、条例に則り、外部の有識者で構成される選定委員会が、予め教育委員会が指名する指定管理予定団体に対して、指定管理者としての基準を満たしているかどうかの判定をするという方法で行われました。その結果、予定団体であった財団法人大阪市文化財協会が当館の指定管理者として適当であると判断され、選定結果は今年3月の議会で承認の議決を受けました。非公募による選定であるという理由によって、指定管理の期間は短く、2年間と定められました。選定経過の概要についてはhttp://www.city.osaka.jp/kyouiku/osirase/pdf/s_kanri/11.pdfに示されています。
これまで大阪市が直接的に管理・運営を行なってきた当館に対して、今後は財団法人大阪市文化財協会がそれを代行します。このことによって当館は大阪市の組織としては廃止されましたが、設置者が大阪市であり、博物館の建物や展示室、収蔵資料などが大阪市の所有であることには変わりがありません。また館長・学芸員についても全員が大阪市から大阪市文化財協会に、「公益法人等への職員の派遣等に関する条例」に基づいて派遣されるという形で、今までどおり自然史博物館において活動を継続しますから、当面、指定管理者制度の導入によって博物館の態様が大きく変化することはありません。
指定管理者制度は、「住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ること」を目的としています(大阪市による「公の施設の指定管理者の指定の手続きに関する指針」)。私たちとしては、昨年夏に策定した大阪市立自然史博物館の「ミッションと中期目標」並びに「課題」(http://www.omnh.jp/2about/foreword.html)に沿って、今後も博物館活動の向上と経営の改善に努めていきたいと考えています。
2年間という指定管理期間経過後の問題にも触れておきます。大阪市には長年にわたって多様な博物館・美術館を設置しその充実を図ることで、国内においては一都市として傑出した博物館群を築き上げてきました。今年2月に発表された「教育長改革マニフェスト(教育委員会事務局改革実施方針)」(http://www.city.osaka.jp/kyouiku/osirase/pdf/manifest_060228_honpen.pdfのp.58)においては、「博物館群については、相互の連携強化と総合的な事業展開、効率的な運営を図るため、一体的に管理運営されることが最適である」とされ、「今後、さらなる管理・運営の一元化を図るには、監理団体の統合を進める手法とともに、国において先行実施されている独立行政法人化が有効な選択肢と考えられるが、現行の地方独立行政法人法では、教育委員会が所管する施設はその対象施設に含まれない。そこで、法改正や政令で対象施設となることを念頭に、制度適用の有効性や具体的以降方法等について、平成19年度末を目標に一定の結論を得る」という方向性が打ち出されているところです。
当博物館といたしましては、これまで培ってきた市民の皆様方、当館友の会や特定非営利活動法人大阪自然史センターをはじめとする自然に関わって活動する諸団体の方々、行政・学校・大学・博物館等の関係機関の方々等との連携を何よりも大切にしながら、この激変の時代を乗り越えていきたいと考えております。今後ともよろしくご支援のほどをお願い申し上げます。
(平成18年4月)