44巻(1998)1月号

ハシビロガモの白色個体

               浦野信孝


上より順にオス、メス、メスの白色個体

 1997年11月21日に白いハシビロガモを観察しましたので報告します.場所は羽曳野市野の新ケ池(大座間池の北の池)で,多数のハシビロガモに混じって白いカモが1羽だけ泳いでいました.嘴の形態および目の色よりハシビロガモのメスと同定しました.頭部と雨覆いの一部は薄い茶色,嘴はピンク色,その他はほとんど白色でした.

この池では他にホシハジロ,キンクロハジロ,ヒドリガモ,マガモ,アヒル(家禽)を観察しています.ハシビロガモは池の南寄り,ホシハジロとキンクロハジロ は道路に近い北寄りにかたまる傾向があるようでした.

 25日に再確認に行ったところ,このハシビロカモは大座間池に移動していました.

 1992年以降の大阪での白色個体の記録を調べたところスズメ(堀江ら1995),セグロセキレイ (磯江・二河田1995,荻原・荻原1994),ホシハジロ(中尾・中尾1992),ムクドリ(浅川1992)の例がありましたが、ハシビロガモの白色個体の報告はありませんでした.

 最後に報告を勧められ、本稿をまとめる際にも色々なご助言を下さった和田学芸員にお礼申し上げます。

参考文献

 浅川正(1992)むくどり通信(97):11.
 中尾嘉孝・中尾邦子(1992)むくどり通信(98):5.
 萩原大二郎・荻原陽二郎(1994)むくどり通信(113):9.
 磯江幸彦・二河田真弓(1995)むくどり通信(115):7.
 堀江洋子・堀江進・堀江真二(1995)むくどり通信(117):12.

(うらののぶたか :本会会員、大阪鳥類研究グループ)


(附記)

 白いハシビロガモが見つかるのは,たいへん稀なことだと思います.充分に稀だとすると,Natural Markingとしてハシビロガモの生態の調査につなげることができます.白いハシビロガモの観察記録を集めることによって,越冬域での行動域や渡りの時期,渡りのコース,毎年どこ越冬するかなどが明らかになるかもしれません.上に報告された場所であろうとなかろうと,白いハシビロガモを見かけたら自然史博物館の和田までお知らせください


こんな記事がいっぱい載ってるNatureStudyが読める
友の会へ入ろう!

[ 友の会ホ−ムペ−ジへ戻る]
[ 博物館ホ−ムペ−ジへもどる]