けものと恐竜の化石(自然史博物館の展示案内 脊椎動物化石編)
詳しい説明

" ゴンフォテリウムの仲間は,中新世《年代表へ》から鮮新世《年代表へ》にユーラシア,アジア,北アメリカに分布していました.頭骨は低く,前後に長く,下顎の先にも牙がはえていていました.臼歯はこぶを並べたような形で,高さが低く,現在のゾウと大きくちがっています.臼歯の生えかわり方も,普通の哺乳類のような垂直交換で,現在のゾウの水平交換とはちがっています.
 アネクテンスゾウは日本から見つかるゴンホテリウムの中では,もっとも多くの化石が発見されている種類です.岐阜県瑞浪市と可児郡およびその周辺に分布する,瑞浪層群と可児層群から発見されています.時代は前期中新世の終わりころで,約1,800万〜1,900万年前です.臼歯の形態は比較的単純であり,ゴンフォテリウムの中でも原始的なタイプであるとされています.
 可児郡御嵩町で最初に見つかった標本は,臼歯6個が付いている頭骨の破片でした.この標本の産出が報告されてから17年後,すぐ近くと思われる場所から,今度は下顎骨が発見されました.長い間これら2個の化石は,別々に保管されていましたが,臼歯のすり減り程度がよく似ているので,同じ個体ではないかと言われていました.1970年代になって,2個の標本を持ち寄る機会が作られ,ためしてみると,臼歯の咬み合わせはピタリと一致することがわかり,同一個体であったことが確かめられました.実に1,800万年ぶりの再会だったのです.展示してあるのは,これらの頭骨と下顎骨の模型です.
 日本からはこの他に,宮城県の槻木層からみつかったミヨコゾウ(Gomphotherium miyokoae)が知られています.また,かつて日本が支配していた朝鮮半島の威鏡北道で発見されたヨコチゾウ(Gomphotherium yokotii)も,このなかまと考えられています."
 ゾウ 
和 名アネクテンスゾウ 
学 名Gomphotherium annectens