けものと恐竜の化石(自然史博物館の展示案内 脊椎動物化石編)
詳しい説明 |
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化石の見つかっている数も産地の数も一番多く,日本のゾウ化石の代表です.ナウマンゾウという名前は日本でのゾウ化石研究の第1歩をふみ出す役割を果たした,エドモンド・ナウマンにちなんで付けられました. 化石の分布は北海道から九州におよび,特に瀬戸内海の海底からは数千個もの化石が,底びき網で引き上げられています.また生息した年代は,中期更新世のなかごろから後期更新世で約35万年前から2万年前のことです. 化石の発見数が多いこともあって,日本の他のゾウ化石よりは多くのことが明らかにされています.まず大きさですが,これまでに復元された標本では肩の高さが1.9〜2.7メートルほどで,ゾウとしてはあまり大きくはありません.雄のナウマンゾウは,プリミゲニウスゾウほどではありませんが,発達した牙をもっていました.長さが2mをこえるようなりっぱな化石もしばしば発見されています.長野県の野尻湖で見つかったものは,長さ2.4mに達します.雄の牙はよく曲がりねじれますが,雌の牙は雄の牙に比べると細くて短く,ほとんどねじれません. ナウマンゾウを含むパレオロクソドン属のゾウの額には,前頭頭頂隆起と呼ばれる前方への出っ張りがあります. 哺乳類化石の宝庫である中国の更新世の地層からは,ナウマンゾウと同じパレオロクソドンに属するゾウの化石が何種類も報告されています.これらの中のどれかが,ナウマンゾウの祖先となったのでしょう. ナウマンゾウは私たちの祖先と深い関わりをもっていたようです.すなわち,日本人の祖先はナウマンゾウの狩人として暮らしていた時期があっただろうということです.そしてナウマンゾウの日本列島での絶滅には,気候変化とそれに伴う植生変化だけでなく,ヒトによる狩猟の影響も,大いにあったのではないかと考えられています. |
| ゾウ |
和 名 | ナウマンゾウ |
学 名 | Palaeolxodon naumanni |
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