ボーリング調査やボーリング標本について、ちょっと詳しく

 

ボーリング調査とは?

 地層や岩盤について調べるには、崖や沢沿いなどで地層や岩盤を露出している場所が必要です。
しかし、平野は平らなため、そのような場所はほとんどありません。
機械で地下に穴を掘り、地層や岩盤を筒状に丸くくりぬいてきて調べる「ボーリング調査」を行う必要があります。

ボーリング調査の様子

 

研究のためのボーリング調査とボーリング標本

 研究用のコアは掘った地層をほとんど全部、筒状の標本として、1mごとに分けて採取、保存します。
これを細かく分けて、微化石などの分析を行います。
1995年兵庫県南部地震以降、活断層の調査のために、大阪平野でも何本もの深いボーリングコアが掘られました。
大学や研究機関での研究が一段落した後、自然史博物館で収蔵しています。

研究用のボーリングコア

 

工事のためのボーリング調査とボーリング標本

 建物を建てる時に、どれくらい深くまで基礎を掘ったらいいか調べるボーリング調査です。
掘り出した地層の一部分を、プラスチックの瓶に詰めて保存します。
自然史博物館でたくさん所蔵していて、学校の授業用に貸し出しするのは、このタイプの標本です。

 

 

ボーリング柱状図

 地層を調べるときには、どんな地層がどのような厚さでたまっているかを細長い図に書いて記録します。これを柱状図といいます。ボーリング調査でも、柱状図を作成します。工事のためのボーリング調査の柱状図には、地層の固さを表すN値のグラフが付いています。

 

 

地質断面図の例

柱状図を何本か並べ、その間がどうなっているのか推定して、断面図を描きます。
大阪平野では、海でたまった粘土層である海成粘土層がよく連続するので、良い手がかりになります。海成粘土層には、しばしば貝化石が含まれます。

 

大阪平野周辺には、およそ10万年に一度やってくる温暖期にたまった海成粘土層が分布することが知られています。海成粘土層は一層ごとに識別され、古い方から順に、Ma-1Ma0Ma1、・・・・・、Ma12Ma13と、名前が付けられています。Maは、Marine clayの略です。
上町台地や丘陵部以外の沖積平野では、縄文時代の暖かかった時期にたまった海成粘土層が広く分布します。
この一番新しいMa13層が、縄文時代にたまった海成粘土層です。海成粘土層があることで、その場所がかつて海だったということがわかります。

 

Nature Study 2013年4月号に掲載

 

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