----------------------自然史研究2巻15号の主な内容----------------------
レッドデータブックと近畿の植物相(村田 源)
地方版レッドデータブックに求められるもの(芹沢俊介)
レッドデータブック作成と利用の課題(藤井伸二)
身近な植物の危機,近畿地方の現状(瀬戸 剛・藤井伸二)
絶滅危惧種の現状ー水辺の植物を中心にー(角野康郎)
植物保護と環境−保全へのアプローチ−(梅原 徹)
討論の記録
近畿地方の植物分布図文献一覧(予報)(藤井伸二・藤井俊夫)
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(レッドデータブックの)出来不出来は,見る人が見れば一目瞭然でも,行政担当者にはわからないのが普通である.「頁数も多いし,写真もきれいだし,どうしていけないのですか?」などと問われると,これはもう,1時間や2時間の説明では説得不能である.(芹沢)
・・・「これが究極の多自然型川づくりか」と感心した例である.この写真をヨーロッパで紹介したとき,「Oh,Bonsai !」という声が挙がった.ヨーロッパ人の目にも川の中に日本庭園を作ったものとすぐにわかったのである.<中略>多自然型川づくりと称して行われてきた多くの工事の発想が,公園や庭園造りの発想で行われてきたというのは言い過ぎであろうか.(角野)
・・・次は絶滅危惧種が生育している場の“状態の保全”である.<中略>それぞれの状態が保全できなければ,そこに生育している絶滅危惧種も失われる場合が多い.
これら二つの保全はどちらも重要だが,場の保全が一般に理解されやすいのに対し,後者の(状態の保全の)重要性や内容に対する理解はまだまだ低い.(梅原)