ご挨拶  

 日本の変化に富んだ海岸地形の中で、干潟は、磯や砂浜とともに、古来より人々に親しまれてきました。しかし、多くの干潟は、都市のすぐ近くにあるために、埋立てや護岸などによって次々と姿を消し、今では身近な存在とは言えなくなってしまいました。
 一方、最近では「諫早」、「藤前」、「三番瀬」、「吉野川」など全国の干潟が注目されるようになり、干潟の保全は社会的な関心事のひとつとなっています。干潟が、渡りをする水鳥にとって大切な場所になっていること、干潟にはムツゴロウやシオマネキのようなユニークな生物がいること、干潟は水質を浄化する力をもっていることなどは広く知られています。
 では、干潟とはそもそもどんな場所でしょうか?干潟にはどんな生物がどのようにして生活しているのでしょう?日本の干潟は今どうなっているのでしょう?干潟と私たちはどのような関わりがあるのでしょう?
 大阪市立自然史博物館は、このような疑問に答え、干潟についての正確な知識・情報を市民のみなさんに提供するために、特別展「干潟の自然」を企画しました。この特別展のために、日本各地の約60ヵ所の干潟に出かけ、標本・写真などの資料を収集してきました。その成果を、底生動物、魚類、鳥類、植物などの標本・生態写真や各地の干潟の写真でご覧いただくことができます。また、干潟の地形がよくわかる模型や、干潟のでき方を理解する鍵になる干潟断面の剥ぎ取り標本、干潟のさまざまな動物の巣穴の型どり標本なども製作しました。有明海の潟スキーの実物も展示します。
 特別展をご覧になったみなさんが、これを機会に、じっさいに干潟を訪れ、その自然のすばらしさを体験していただければ幸いです。

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