デスモスチルスという化石哺乳類は,北太平洋をとりまく日本列島・カムチャッカ・北アメリカの中新世(約1,500万年前)の地層からみつかっています.たいへん変わった形の奥歯をもっていて,いつも海にたまった地層から掘り出されるので,そんなケモノだったのか,大勢の人が研究し,いろいろな意見が出されています.
まず,陸上も歩くし海も泳ぐ水陸両生という説と.ほとんど海の中にすんでいる海生という説とがあります.海生という考え方の中でも,アザラシ型・オットセイ型・海牛型と,いろいろ考えられました.しかしサハリン(樺太)で最初にみつかった全身骨格をみると,陸上もちゃんと歩いていたことは,間違いありません.最近の研究では,ふつうのケモノと違って4本の足が体から横向きに出ているという,しっぽのないワニみたいな,ちょっと格好の悪い姿に復元されています.ここにあるのは.日本人が考えた,1938年の復元です.