鹿児島県の南端から南へ60kmほどのところにある屋久島に生えているスギをヤクスギとよんでいます.ヤクスギにはとても大きな木がたくさんあります.たとえば,1996年に発見されたヤクスギは,根本の周囲が20m,胸高直径5.1,樹高30mもありました.またウィルソンという人が発見し,その名をとってウィルソン株と名が付けられている切株は,周囲32m,樹齢は4000年といわれています.ヤクスギは日本を代表する生物のひとつです.
 このヤクスギの標本は,大きな年輪があり,そのまわりを小さな年輪がとりかこんでいます.この木は生きていたヤクスギを切ったのではなく,古い切株から取ったものなので,外側のいたんでいた部分は取ってしまってあります.そのためわかりにくいのですが,小さな年輪の部分をとりこみ,全体をつつむ年輪が出来ていくのがわかります.おそらく枝が幹と合着してしまっているのです.このヤクズギが生きていた時には枝の合着はわからず,とても大きな1本の木のようにみえたことでしょう.