ティンバーゲンの実験 - イトヨの闘争行動を解発する鍵刺激(21.4MB, 00:01:26)撮影日:2005/06/15 撮影場所:福井県大野市糸魚町 本願清水イトヨの里内研究室 | |||
種類 イトヨ(淡水型) Gasterosteus aculeatus (freshwater type) キーワード | |||
政田智啓・石田 惣・佐藤ミチコ・安曽潤子・定政美喜子 (Tomohiro MASADA, So ISHIDA, Michiko SATO, Junko ANSO, Mikiko SADAMASA) 2005/07/07登録 |
動物界 >脊索動物門 >硬骨魚綱 >トゲウオ目 >トゲウオ科 >イトヨ属 >
繁殖期に入って巣作りをしているイトヨのオスは、巣を中心とするなわばりを持ちます。このなわばりに他のオスが侵入した場合、なわばりオスは口を開けて相手に突進する闘争行動により侵入オスを追い払おうとします。
動物にとって生得的な行動を引き起こす(解発する)要因を「リリーサー(解発因)」といい、リリーサーに含まれる特徴的な刺激要素を「鍵刺激」といいます。イトヨの場合、闘争行動のリリーサーはなわばり内への他のオスの侵入ですが、闘争行動の解発には必ずしも侵入オスの全身の姿が見える必要はありません。オスの婚姻色である赤い色さえ視界に入れば闘争行動は解発されます。つまり、この場合の鍵刺激は赤い色となります。
この鍵刺激を実験的に明らかにしたのがティンバーゲンです。ティンバーゲンはイトヨにそっくりで腹の赤くないモデルと、細部をデフォルメして腹だけを赤くしたモデルのそれぞれをなわばりオスに提示し、そっくりであっても腹の赤くないモデルでは闘争行動が解発されず、一方腹が赤いだけのモデルでは解発されることを示しました。
映像はこの実験を室内の水槽で再現したものです。水槽の左奥で巣作りをしているオスに対し、3種類のモデル(腹が赤くないそっくりのモデル、紡錘形にデフォルメした腹の赤いモデル、さらにデフォルメした腹の赤いモデル)を提示すると、腹の赤い2種類のデフォルメモデルに対して闘争を仕掛けることがわかります。
なお、映像からはモデルに描かれた目玉模様に突進することがわかります。目玉模様は攻撃目標として認知されていると考えられます。
(この映像は福井市自然史博物館友の会「イトヨの教材映像撮影プロジェクト」により制作されたものです・http://www.nature.museum.city.fukui.fukui.jp/friends/itoyo/)
(データ番号:momo050707ga01b)