鮮新世の中ごろ(約400〜300万年前)の地層からは,たいへん大型のステゴドンの化石が見つかります.1970年代まで,これらの化石はインドやミャンマ−で発見されるステゴドンと同じ種類と考えられ,当時の日本のゾウを始めとする動物たちは南方起源であるとの説が,長く受け入れられていました.
しかし最近の研究の結果,これらのステゴドンは,インドやミャンマ−の種類より
,むしろ中国北部で見つかるツダンスキ−ゾウを祖先と考えた方が良いことが明らかにされました.それがシンシュウゾウです.三重県大山田村では,長さが60cmをこえる巨大な足跡の化石も見つかっています.
シンシュウゾウの復元図
シンシュウゾウの骨化石は,まだほとんど見つかっていませんから,復元図を描くことは困難です.中国北部では,鮮新世から更新世にかけて,シンシュウゾウと関係が深いと考えられるツダンスキ−ゾウをはじめ,よく似た大型のステゴドンが何種類も知られています.コウガゾウ(黄河象)もそのひとつです.ここでは,コウガゾウの復元図をもとに,シンシュウゾウの図を描いています.なお.コウガゾウは鼻を牙の間から垂らすことができなかった姿に復元されています.シンシュウゾウは,大きなものでは肩の高さが4mくらいあったでしょう.
標本のラベル
シンシュウゾウ
右寛骨の一部
産地;三重県亀山市
地層;東海層群亀山累層
時代;新生代第三紀鮮新世