7 漁港であさる貝

紀伊半島では冬から春にかけて、イセエビや魚を獲るための刺し網が仕掛けられます。朝方、各地の漁港にひきあげられるこの網には、ふつう私たちが目にすることのできない、海底のさまざまな貝が引っかかってきます。漁師さんたちが網をそうじしたあとのごみ置き場には、さまざまな生きた貝が、カニなどと一緒にごみくずに混っています。ここをたずねることによって、貝の収集家はコレクションを充実させ、海の生物の研究者はさまざまな研究成果をあげてきました。博物館の貝の標本の中にも、刺し網の漁獲物から手に入れたものがたくさんあります。

琵琶湖の西岸の堅田漁港は、貝を集める底曳そこびき網の基地となっています。貝は、近くの加工場で食用にするための身をはずされ、残った貝殻は漁港近くの一角に捨てられます。ここには、何種類もの琵琶湖の底にすんでいる(カワニナ、タニシ、タテボシガイ、ササノハガイ、イシガイ、シジミなどのグループ)の殻が積み上げられています。湖岸では見ることのできない、湖の底に生息している種類を手にとって見ることができます。

堅田漁港近くの貝殻捨て場
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