水に漂う生物がプランクトンと呼ばれるのに対して、水底にすむ生物はベントスと総称されます。
海底には浅所から深所、あるいは岩礁・砂地・泥場など変化に富んだ環境があり、多様なベントスがそれぞれの環境に適応し、陸上とはまったく異なったさまざまなやり方で生活を営んでいます。しかし、手探りの調査しかできない海底では、今も未知の種類が多く残され、また一部の有用種を除けば、生態が詳しく解明されているものはごく僅かです。地球上の生物的自然の重要な構成要素である海産ベントスの探究は、まだまだこれからであると言ってよいでしょう。
当館では、日本沿岸各地の海底に産するの動物標本の収集を続けています。また、地元大阪湾のベントスについては、長期の調査と資料収集を実施してきました。
この特別展では、このような収蔵資料を中心に、日常ほとんど見る機会のない海産動物ベントスの標本を分類学上の配列に基づいて紹介するとともに、海底環境および地域別のコーナーを設け、それぞれに生息する主要な種類と環境との結びつきなどを展示・解説します。
また、関係機関の協力を得て、最近相次いで新知見がもたらされている深海底や極地のベントスの標本・資料も展示します。