第1展示室 > 外国からの侵入者
A.港から入った生物

日本は島国なので、陸や淡水にすむ生物は外国から入ってこられない。海上を流されて上陸するか、空を飛んでくるしかないわけである。ところが、人が船を使って外国と行ききし、荷物を運ぶことが盛んになると、積荷にまぎれこんで植物のたねや昆虫がやってくる。侵入ののち定着する生物も、明治以後しだいに多くなった。大阪港や阪南港(岸和田)、それに神戸港へは、大阪都市圏で消費される物資が、船でたくさん運ばれてくる。世界各地からの木材、穀物、綿や羊毛の原料などに、害虫や雑草のたねが混じり、ときに毒ヘビやサソリもかくれている。植物防疫所のきびしい検査で発見されるものが多いが、それでも目をかすめて侵入し、そのいくつかは帰化生物となる。外国の海の動物(フジツボや貝)も、船底の表面にくっついて、いつのまにか日本へ運ばれてくる。(柴田)


◆木材について入る

動物東南アジアやアフリカから、ラワン材などの南洋材がどんどん運ばれてくる。シベリアやカナダからも、針葉樹の木材がたくさん運びこまれる。樹木の中や皮の下には、カミキリムシ、ゾウムシ、キクイムシなど、木材害虫がよく巣くっている。材木の奥深くにかくれているので、よほど気をつけて検査しなければならない。
ときには、サソリやクモ、ヘビやトカゲなどが、ひそんでいることもある。


◆ダイズといっしょに入ってきた種子

輸入されたダイズ(大豆)には、収穫の時にまざりこんだ雑草や穀物の種子が入っていることが多い。このようなまざりものは、重さにして2〜3%もの量がある。
それらの種子はより分けられるが、その一部がこぼれ落ちて、ダイズを原料として使っている製油工場やしょう油工場の近くなどで発芽していることがある。