第2展示室 > 大氷河時代


大氷河時代のあいだには、6回の氷期と5回の間氷期がかわるがわる訪れ、気候は寒・暖の変動をくりかえした。氷期のあいだにも、少し温暖な亜寒氷期と非常に寒い亜氷期がくりかえした。
氷期が訪れるたびに、第三紀に栄えた古い型の生物は次々と絶滅し、新しく生まれた第四紀型の種類と交代していった。


●ミツガシワの沼

氷期には、厳しい寒さのもとで北方の動植物が南下してきた。北極をとりまく寒い地方に分布していたミツガシワは、一番早くに南下した植物のひとつである。氷期にたまった地層からは、つやつやと光った、丸い小さなミツガシワの種の化石がたくさん出てくる。
氷期のあいだに栄えていた動植物も、完新世になって気候が暖かくなると、北の地方や高山へとのがれていった。しかし、ときには京都市の深泥池をいろどるミツガシワや浮島の植物のように、暑さに耐えて生き残るものもあった。このような遺存分布は、氷河時代の自然の姿を解きあかすヒントを、私たちにあたえてくれる。

●オオツノジガ

オオツノジカのなかまは、約200万年前から1万年前まで、ユーラシア大陸と北アフリカにすんでいた。ヨーロッパでは、もう少しあとまで生き残っていたらしい。オオツノジカは、名前の通りシカ類のなかで、もっとも大きな角をもっていた。ヨーロッパには、左右の角の幅が3.5mもある種類もいた。
日本にいたのはヤベオオツノジカという種類で、その体の大きさは、ヨーロッパにいた種類とあまりちがわない。ヤベオオツノジカは後期更新世の地層から多くの化石がみつかっているが、とくに最終氷期(ウルム氷期)には、北海道と琉球列島をのぞく日本各地にすんでいた。古大阪平野でも、きっとヤベオオツノジカがはしりまわっていただろう。