第3展示室 > 生物どうしのつながりと進化 A.花と動物 |
まったく異なる生物どうしが、たがいに助けあっている例を、花とその花を訪れる動物との間にみることができる。 動物は食料を求めて花にやってくる。植物は蜜や花粉の一部を失う。そのかわり、種子をつくるために欠かすことのできない花粉の受け渡しを、風にまかすよりずっと効率よく行うことができる。 花は、さまざまな形に分化した。動物の種類により、利用できる花や花の好みは、少しずつ異なっている。そのために、よく訪れる花は、動物の種類により、およそ決まっている。それによって、花粉はより確実に、同じ種類の花に届くようになったのである。 私たちにとって最もなじみの深い昆虫を例にして、花とのかかわりをみてみよう。 ●ハナバチ類と花 ミツバチやマルハナバチ、クマバチなどのハナバチのなかまは、食料のすべてを花にたよって生活している。成虫は花の蜜をエネルギー源として、花から花へと飛びまわり、蜜と花粉を集めて巣に持ちかえる。蜜と花粉は幼虫の食糧となるのである。 幼虫のための食糧を求めて飛びまわるハナバチ類は、効率よく蜜と花粉を集めなくてはならない。同じ種類の花を訪れ、同じ方法で蜜や花粉を手に入れることが多い。花にとっては、たいへんありがたく、最もたよりになる花粉媒介者である。 ●イチジクとイチジクコバチ イヌビワなどイチジクのなかまの花粉は、種子に寄生する小さな昆虫(イチジクコバチ科)によって運ばれる。イチジクコバチは、イチジクの種子に寄生することによってのみ生存できる。いっぽう、イチジクもまた、イチジクコバチがいなかったら、花粉の受け渡しができず、種子をつくることができない。 |