第3展示室 > 地球は虫でいっぱい |
![]() はるか4億年前のデボン紀に、陸上に進出した節足動物の中から昆虫は出現した。そのころすでに昆虫の体は、頭、胸、腹の3つの部分に分かれ、6本の足をもっていた。まもなくはねを獲得して積極的に移動し、小さな体を利用して、それまでほかの陸上生物が占めていなかったあらゆる空間に、効率よくはいりこんだ。それぞれの種は、環境との結びつきを強め、その場所に応じた体の形や生活のしかたを持つようになった。後に種子植物が繁栄するようになると、それらを食物としてますます分化が進み、気候が寒冷になった時には、休眠することできりぬけた。 ◆甲虫の進化と環境との結びつき 適応放散の例を甲虫でみてみよう。甲虫は昆虫のなかでも、最も栄えているグループで、あらゆる環境にすんでおり、世界で30万種以上、日本から約8000種が知られている。 甲虫はどのグループでも、身を守るかたい前ばねと体皮、飛ぶときに使う膜質の後羽をもつという、基本的には同じ体のしくみをもっている。ところが、すむ場所や活動ぶりに応じて体の形を変化させて、多くの種に分かれている。水中にすむガムシやゲンゴロウのなかまでは、体は流線型で平たくなり、前ばねの表面はなめらかで、足はオール状で、全体に泳ぎやすい形に変化している。糞をえさにしている甲虫では、前足が糞を切りとったり、まるめるのに都合のよいシャベル型になっている。 |