第3展示室 > 海は生命のふるさと
C.生きている化石

生物の中には、ある地質時代に、化石としてその存在が知られていても、そののちに絶滅して、真の姿を知る手がかりのほとんどないものが少なくない。しかし、中には、子孫がいまもあまり変化せずに生き残っていて、それによって当時の生物についての貴重な情報のえられる場合がある。このような場合、現存する子孫は「生きている化石」と呼ばれることになる。


●カブトガニ

カニではなく、クモに近い原始的な節足動物、古生代シルル紀にあらわれ、中生代に繁栄したが、現在ではインド・西太平洋沿岸とアメリカ東岸に5種が生き残っているだけである。日本でも瀬戸内海や九州沿岸に生息するが、絶滅の危機がある。

●オウムガイ

古生代に栄えた頭足類(イカやタコのなかま)で、現在は熱帯の海に少数の種が知られているだけである。
巻いた殻で身をまもり、単純な形の触手をたくさんもっている。イカやタコのようなレンズのある眼はなく、運動も不活発である。

●ネオトリゴニア

中生代の浅い海の堆積物から、さまざまな種類のサンカクガイの化石が見つかっている。ネオトリゴニアはその子孫で、オーストラリアの近海に数種がすんでいる。

●オキナエビスガイ

腹足類(巻貝)の体は、発生のとちゅうで神経系のねじれを起こし、多くの器官の右側が退化・消失してしまう。しかし、オキナエビスガイ類では、えら、心耳などは右側も残っていて、腹足類の原始的な状態をとどめている。
古生代から中生代にかけて繁栄した。現在ではやや深い海底にすんでいて、採集されることはまれである。