第4展示室 > 食用植物とそのふるさと
D.日本にはなにがあったか


東南アジアではじまった世界でもっとも古い根栽農耕は、その北に続くアジア大陸東部の照葉樹林地帯に伝わった。
そこではクリやシイやどんぐりなどの木の実、クズ・ワラビ・コンニャク・テンナンショウ類・ヤマノイモなどの野生植物の地下部を食用にしていた。東南アジアからサトイモが伝わり、ナガイモが栽培植物となったが、熱帯にくらべて食べられる植物はとぼしかった。そうした地域の東北の端に日本がある。
やがて西方から雑穀・豆類・ソバなどの種子農耕が伝わり、そのあと稲作が伝わったと考えられている。
日本産の食用植物は、クリ・ナシ・ビワ・カキなどの果樹のほかには、フキ・ミツバ・ウド・セリ・ユリなど貧弱なものばかりで、ゆたかな生活のエネルギーとなるすぐれた作物はなにひとつない。今日、あなたが食べた植物はどこからきたのだろう。