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大阪平野のまわりを千里・京阪奈・泉北・羽曳野などの各丘陵が囲んでいます。かつては雑木林と棚田の間
に集落が散らばっていた地域です。しかし1960年代以降の人々の暮らし方の変化で、雑木林は生産の場と
見なされなくなりました。都市の拡大で里山環境は細切れのごく狭いものになりつつあります。丘陵を日常の
自然観察の場所としてもう一度見つめてみましょう。
山と低地の間にある丘陵はなだらかな尾根とたくさんの小さな谷から成り立ちます。 これらは300万年前より新しい時代にたまった軟らかい地層からできています。水のたまりやすい泥の層の上を利用してため池や谷あいの田んぼが作られています。 砂礫層の上は水はけがよく、乾燥に強いアカマツやネズが生えます。里山環境とその利用は、地形や地質と深く関係しています。 |
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丘陵は、薪をとる山、谷奥のため池、山あいの田んぼと集落と、人が利用する環境ばかりですが、そこをすみ場所とする生きものもたくさんいます。 丘陵の自然は人が営んだ里山の自然です。人の関わりの強弱で草地から暗い社寺林そして浅い水田から深い池など様々な環境ができ、これらが組み合わさって豊かなすみ場所を作っています。 |
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薪の代わりに電気やガスを使うようになり、山仕事は昔話になりました。 小川や野原といった風景も日常から遠いものになっています。人の関心が薄れた頃、里山はモウソウチク林の拡大や松がれなどで大きく変化しました。 また都市の周辺にあるために大規模な開発やゴミの処分場となってすっかり面影を失った場所も少なくありません。 こうして多くの生き物がすみ場所を失ったのです。 |
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