SF関係の本の紹介(2010年分)
【★★★:絶対にお勧め、★★:けっこうお勧め、★:読んでみてもいい、☆:勧めません】
●「アッチェレランド」チャールズ・ストロス著、早川書房、2009年2月、ISBN978-4-15-209003-4、2000円+税
20101231 ★★★
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●「プシスファイラ」天野邊著、徳間書店、2009年10月、ISBN978-4-19-862823-9、2000円+税
20101108 ★★
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●「競馬の終わり」杉山俊彦著、徳間書店、2009年10月、ISBN978-4-19-862840-6、2000円+税
20101015 ☆
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●「パズルの軌跡」機本伸司著、2009年10月、ハルキ文庫、800円+税、ISBN978-4-7584-3436-2
20101011 ☆
「神様のパズル」の続編。天才美少女に凡人男子が振り回される、というよくあるパターン。そしてなぜか美少女は凡人が気に入っているという、これまたよくあるパターン。前回は「宇宙を作ることはできるのか?」というテーマだったのが、今回のテーマは「自我の境界をなsくしたらどうなるか?」といったところだろうか。テーマが外宇宙から内宇宙に変わったのさ、という発言も出てくる。
残念ながら、内宇宙についての考察はいたって表面的。なんか物理屋さんが考えそうな臭いがプンプン。自我がなくなったときの社会への考察もたいした事なければ、自我の獲得によって何が得られて何が失われたのかの考察もありきたり。
となると、あとはありきたりなプロットに、動機不明な登場人物たちの行動が鼻に付く。
●「洋梨形の男」ジョージ・R・R・マーティン著、河出書房新社、2009年9月、ISBN978-4-309-62204-0、1900円+税
20100915 ★
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●「無限記憶」ロバート・チャールズ・ウィルソン著、創元SF文庫、2009年7月、ISBN978-4-488-70605-0、1240円+税
20100912 ★★
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●「海賊の子」カリン・ロワチー著、ハヤカワ文庫SF、2009年10月、ISBN978-4-15-011729-0、1000円+税
20100904 ★
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●「超弦領域」大森望・日下三蔵編、創元SF文庫、2009年6月、ISBN978-4-488-73402-2、1100円+税
20100821 ★★
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●「クリスタル・レイン」トバイアス・S・バッケル著、ハヤカワ文庫SF、2009年10月、ISBN978-4-15-011728-3、1000円+税
20100811 ★
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●「地球移動作戦」山本弘著、早川書房、2009年9月、ISBN978-4-15-209068-3、1900円+税
20100726 ★
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●「ファントマは哭く」林譲治著、早川書房、2009年10月、ISBN978-4-15-209078-2、1700円+税
20100723 ★
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●「最後の星戦」ジョン・スコルジー著、ハヤカワ文庫SF、2009年6月、ISBN978-4-15-011716-0、880円+税
20100401 ★
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●「艦長の子」カリン・ロワチー著、ハヤカワ文庫SF、2009年7月、ISBN978-4-15-011718-4、1000円+税
20100904 ★
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●「レインボーズ・エンド」(上・下)ヴァーナー・ヴィンジ著、創元SF文庫、2009年4月、(上)ISBN978-4-488-70506-0(下)ISBN978-4-488-70505-3、(上)940円+税(下)940円+税
20100225 ★★
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●「ヘミングウェイごっこ」ジョー・ホールドマン著、ハヤカワ文庫SF、2009年2月、ISBN978-4-15-011699-6、700円+税
20100217 ★
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●「天冥の標I メニー・メニー・シープ」(上・下)小川一水著、ハヤカワ文庫JA、2009年9月、(上)ISBN978-4-15-030968-8(下)ISBN978-4-15-030969-5、(上)660円+税(下)660円+税
20100214 ★
29世紀初め、辺境の人口200万人の惑星メニー・メニー・シープは入植300年を迎えた。惑星は資源に乏しく、地上の人々は中世のような社会を築き、軌道上の宇宙船にエネルギーを依存して暮らしていた。そこに、宇宙船からのエネルギーが絶たれる危機が訪れて、両者の対立が激化し、弾圧に対する闘いが始まる。同時に、人語を解する謎の怪人が現れ、数百年前のウイルス性の伝染病が復活する。
宇宙船側に雇われる集団知性の昆虫型異星人メイスン<石工>。
宇宙船乗りとして、体内に電気をためて、それによって呼吸し、攻撃もできるように改造された<海の一統>。新しいボディに記憶を移しつつ永遠に生きる自由アンドロイド<恋人たち>。伝染病をひろめる肉食の咀嚼者フェロシアン。ヒツジにしてから生まれつき電波を発信して、羊飼いをそれを受信する。宇宙船のコンピュータまでウロウロしはじめて。特徴あるさまざまな勢力、たくさんの登場人物が入り乱れる。
この惑星の真実。謎の伝染病<冥王斑>の由来。などなど色んなことが謎のまま、次巻へ続く。最後の1ページが好きかも。「かつて6つの勢力があった。それらは「医師団」「宇宙軍」「恋人」「亡霊」「石工」「議会」からなり、「救世群」に抗した。」
●「ヘリックスの孤児」ダン・シモンズ著、ハヤカワ文庫SF、2009年12月、ISBN978-4-15-011738-2、900円+税
20100129 ★
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●「スパイダー・スター」(上・下)マイク・ブラザートン著、ハヤカワ文庫SF、2009年5月、(上)ISBN978-4-15-011710-8(下)ISBN978-4-15-011711-5、(上)780円+税(下)780円+税
20100106 ☆
とある人類が植民した惑星で、古代の異星人の兵器が起動してしまい、惑星壊滅の危機がでまる。惑星を救うために、異星人がその兵器を手に入れたと言う謎のスパイダー・スターに船は旅立つ。ちなみにその兵器は、太陽から火の玉が落ちてくる感じ。ほら、宇宙戦艦ヤマトみたい。この話の場合、道中はあっさりしていて、イスカンダル、じゃなくってスパイダー・スターに着いてから、いろいろ手間取る。
なんでも応えてくれる親切な万能宇宙人が出てきては、興醒め。正義の味方ぶってるけど、あまり役に立たない自意識過剰の主人公にも共感できない。
●「ノパルガース」ジャック・ヴァンス著、ハヤカワ文庫SF、2009年8月、ISBN978-4-15-011722-1、660円+税
20100105 ☆
ネタバレで書くなら。とある偉そうな宇宙人の指摘で、地球人が謎の精神寄生体めいたものにあやつられていることが判明。それを取り除いたら、今度は別のに乗っ取られるだけ。いったいどうするねん!という話。
ジャック・ヴァンスは好きだけど、解説にも書いてあるけど、異世界を描かせたらいいのに、というのが感想。現代のアメリカを舞台にアメリカ人が登場しては、現実感のないアメコミ風の小説でしかない。その辺りがディック風と言えなくもない(その点でこの作品は評価されているのか?)。でも、ディック風するなら、もっとわけわからなくしなくっちゃ。人間にはそもそも自由意志があったのか?とか。私の今の考えははたして私が考えているのか?とか。もっと現実感を崩壊させなくては。
●「新任少尉、出撃!」マイク・シェパード著、ハヤカワ文庫SF、2009年12月、ISBN978-4-15-011736-8、1000円+税
20100102 ☆
海軍士官クリス・ロングナイフシリーズらしい。海軍といいつつ、宇宙の話。お金持ちのお嬢さんが軍に入って活躍する、というストーリー。金持ちらしいところも少し見せるが、一応自力でがんばろうとはする。基本コンセプトは、成功者の子孫も成功するってことか。
4つくらいのエピソードを、単純にくっつけたような構成の一冊。全体を通じたストーリーはないに等しい。背景には、地球と植民星の対立とか、命を狙われるお嬢様とかいくつかあるけど。