自然史関係の本の紹介(2010年分)

【★★★:絶対にお勧め、★★:けっこうお勧め、★:読んでみてもいい、☆:勧めません】

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●「虫をとおして森をみる 熱帯雨林の昆虫の多様性」岸本圭子著、東海大学出版会、2010年9月、ISBN978-4-486-01843-8、2000円+税
2010/12/9 ★

 熱帯での研究生活を、研究者自身が自分の体験を語るシリーズの一冊。著者は、ハムシの研究者で、一斉開花とそうでない時のハムシ生活を追っている。このシリーズでは、初の女性研究者の登場。
 このシリーズの中では、一番真面目に自分の研究を紹介しているように思う。一斉開花時に、樹冠の花に来て、送粉をになっているハムシが、花がない時期にどうやって個体群を維持しているのかが、大きなテーマ。一斉開花についての研究、熱帯林の樹冠の研究、現地での標本の保存状況、熱帯林に生息する昆虫の分類の現状。自身の研究に附随したさまざまなテーマが紹介される。
 熱帯林に未記載種がいーっぱいいるのは知ってたけど、生態学はもう少し進んでいるのかとぼんやり思っていた。記載もされてないのに、その生態が調べられてるわけもないんだ。と、妙に納得した。

●「生命にぎわう青い星 生物の多様性と私たちのくらし」樋口広芳著、化学同人、2010年1月、ISBN978-4-7598-1330-2、1600円+税
2010/12/6 ★

 東京大学教授で、日本鳥学会会長もつとめと、日本の鳥類学の中心的な著者が、鳥を題材に生物多様性について解説した一冊。一般の人や学生を対象とした本らしい。教科書的な構成だが、数式はいっさいなく、図表もとても少なめ。
 目次を拾ってみる。「いろいろな生き物、さまざまな自然」「なぜこんなにいろいろな生物がいるのか」「どのようにして多様になってきたのか」「生物多様性の価値」「失われゆく自然や生きもの」「温暖化が生きもののくらしに及ぼす影響」「拡大する野生との軋轢」「未来にむけて」。個々の章もとてもわかりやすくまとめられている。一言で言えば王道。教科書通りの答えがある感じ。ただ、問題はこんなに必ずしも割り切れるわけではないということ。この一冊だけで、すべてがわかったように思わない方がいいだろう。
 著者の個別の研究の内容を知ってる人なら、この章立てのほぼすべてに著者自身が関わってきた研究が当てはまって行く事に気付くだろう。我田引水といえばそれまでだが、それを並べると生物多様性の教科書ができあがるとは驚いた。著者は、この本に示されたスキームで研究生活を送ってきた。そんなわけはないだろうけど、著者の研究の大きな軸に、ずっと生物多様性に関わる問題があったのは確かだろう。
 地球温暖化が叫ばれてはいるけど、その鳥への影響をわかりやすくまとめた本として、この本は価値が高そう。なにか調べる時には参照させていただこう。

●「自然はそんなにヤワじゃない 誤解だらけの生態系」花里孝幸著、新潮社、2009年5月、ISBN978-4-10-603639-2、1000円+税
2010/12/3 ★

 著者は、ミジンコを中心にプランクトンを題材にした陸水の生物群集の研究者。その経験をもとに、とくにプランクトン視点で、いまどきの生物多様性についての議論に御意見したエッセイ集。
 とかく我々は、鳥や哺乳類など目立つ生き物ばかりに注目し、可愛がってばかり。著者からしたら、魚や昆虫ですら、ばかでっかく目立つ生き物で、注目されているらしい。で、魚をむやみに増やしたら、ミジンコが減るやないか! 的なプランクトン目線で、プランクトンを代弁してくれる。たしかに我々は目に見えないものを存在しないかのように無視しがち、そういった意味で新鮮な意見もある。でもまあ、大部分のコメントは、生態学を真面目に勉強したら、誰でも感じてるポイントだろう。
 著者のコメントは、生態学の立場からしておおむね真っ当だと思うが、大胆発言も多い。説明不十分だったり、かなり言いっぱなしなだったり。そして、幸か不幸か、とても読みやすい。生態学をよく知らない人には、テレビでよく見る意外性だけを追求したコメントをする、トンでも"科学者"と同列になりかねない。マスコミに露出するときは、注意した方がよさそう。

●「ドングリの戦略 森の生き物たちをあやつる樹木」森廣信子著、八坂書房、2010年7月、ISBN978-4-89694-960-5、1900円+税
2010/11/28 ★★

 著者は、奥多摩で15年ほどにわたって、ドングリのなり具合を調査してきた。その結果をもとに、ドングリの豊凶と他の生物との関係を軸に、ドングリの暮らしを紹介しつつ、自分の考えをまとめた本。
 ドングリの紹介の後、落下ドングリ量の季節変化・年次変化を軽く紹介し、さらにドングリをとりまく動物達との関わり、ドングリの貯食散布の話。ここまでは自分のデータを交えつつも、定番の話。ここからはどうしてドングリの結実量は大きく念じ変動するのかという点の検討が始まる。さまざまな仮説を、自分のデータで検証する。この分野の研究の状況がわかると同時に、ドングリをとりまく動物や木々の関わりが、より一層見えてくる。
 かつてドングリは重力散布と習った。ドングリの豊凶は、食害昆虫からのエスケープが目的であると習った。現在では大きく様変わり。定説を鵜呑みにしないで調べてみなくっちゃ、と思った。

●「ツキノワグマ クマと森の生物学」大井徹著、東海大学出版会、2009年11月、ISBN978-4-486-01854-4、3200円+税
2010/11/8 ★

 学生時代からツキノワグマと関わり、就職後クマの研究にも携わる著者が、ツキノワグマを紹介した本。第1章に「ツキノワグマQ&A」と称して、タイトル通りツキノワグマについての一問一答がある。その後の章で詳しく解説する内容のさわりを紹介した感じ。24問でほぼ全編に渡る内容が網羅されている。もしかしたら、第1章を立ち読みしたら充分なのかも…。
 第2章はイントロっぽい内容で、ツキノワグマについての紹介。第3章でクマ類全体の生態と形態の紹介をして、第4章は再びツキノワグマの紹介。第5章以降は、ツキノワグマの生態を中心に紹介しており、食性、冬眠、繁殖、最後にクマとの共存について書いてある。
 この本は、2009年に書かれているので、当然ながら2010年のツキノワグマの問題、山にドングリを撒く人たちについてのコメントはない。それでも、2004年と2006年の状況から、ツキノワグマの人里への出没の原因について、あるいはツキノワグマとの共存に付いて、どんな事が書かれているか興味を持って読んだのだが、肩透かしをくった感は否めない。山に食料が少ないと里に出てくるもんなんだ。また里周辺にクマが食べやすい食物が多いのも問題。といったところか。無難だが、必ずしも状況を説明していないし、充分な対策も示していない。
 90ページにある図がとても興味深い。1956年〜2007年までの北陸三県のクマの有害捕獲数。増減をくり返す中で、1970年、2004年、2006年が突出している。通常の年の3〜5倍は駆除されている。不昨年には里によくクマが出てくると言うのは、突出していない年のデータから知られていたが、この3年の突出はそれだけでは説明できないことを示しているのは明らか。21世紀に入ってからは、不作だと大量出没をしている感がある。2000年を境になにがあったんだろう? 著者にこの点を説明してもらいたかったところ。

●「ホネホネすいぞくかん」西澤真樹子解説・大西成明写真・松田素子文、アリス館、2010年7月、ISBN978-4-7520-0506-3、1500円+税
2010/10/28 ★

 衝撃的だった「ホネホネたんけんたい」、二番煎じ感が否めなかった「ホネホネどうぶつえん」に続く、ホネの写真絵本第3弾。今回のテーマはタイトル通りに水の動物。前半は魚が中心で、後半はクジラや海獣が並ぶ。間にウニやサンゴの”ホネ”も混じる。後ろには、例によってマキコ隊長による解説が8ページ。
 あいかわらず大阪市立自然史博物館の標本を多く取り上げてもらっている。27-30ページの見開きにどどーんと出ているナガスクジラの全身骨格は、表にぶら下がっているナガスケ。上手に合成して、ポーチの柱をなくしているらしい。宣伝してもらえてありがたい。が、32ページのクジラの尾椎を顔に見立てて可愛く並べるのは、おいらが「ホネホネたんけん隊」展でやったののパクりではないか! ゆるせん! といっても、その特別展のタイトル自体が、アリス館の絵本のタイトルのパクりなので、あまり強くも言えない…。
 魚のホネは多様でかっこいい。クジラのホネも大きくてかっこいい。両方が見られるのは、とてもお徳。さらに以前の2作にはないホネが並んでいるのも、好印象。でもどこか物足りないのは、真横から綺麗に撮った写真が少なくないから、もっと楽しい角度から、面白いパーツをアップに、不思議なライティングで。「ホネホネたんけんたい」が高評価だったのは、そこだと思うんだけど。もっと徹底して欲しいところ。

●「イルカを食べちゃダメですか? 科学者の追い込み漁体験記」関口雄祐著、光文社新書、2010年7月、ISBN978-4-334-03576-1、740円+税
2010/10/27 ★

 水産庁の調査員として、イルカの研究者として、太地町で漁師の方々に混じり、実際にイルカ追い込み漁を経験した著者による、真実のイルカ追い込み漁のレポート。真実のというのは、話題になった『The Cove』は必ずしも太地町のイルカ追い込み漁の全貌を紹介していないから。
 1章と2章は、太地のイルカ追い込み漁の様子が、体験に基づいて、実在の漁師とともにいきいきと紹介される。3章は、地元漁師への聞き取りと、文献を交えて、太地のイルカ追い込み漁の歴史が紹介される。4章から6章は、イルカの飼育、捕鯨、イルカを食べる事を順に取り上げて、著者の意見が披露される。
 この本の圧巻は、当然ながら最初の2章。イルカの行動、漁師の知恵。経験者にしかわからない話が満載。挿入される漁師の素顔の描写もいきいきしてる。太地の捕鯨の歴史と、イルカ追い込み漁の成立過程をつづった3章も興味深い。ところどころに自分のストーリーに当てはめようとする事実の解釈があるように思うが、そこは目をつぶろう。
 残念ながら、4章から6章はあまり目新しいものはない。著者の主張は、イルカ追い込み漁を含む沿岸捕鯨は、日本の文化の一つなので守ろう!というもの。でも、説得力となる根拠は示されない。文化だから守ろうだけでは、足らんでしょう。でもまあ、『The Cove』は真実を紹介しようとしてるのではなく、あくまでも一つのプロパガンダであるということはわかるかも。
 捕鯨やイルカを食べる文化をどう思うかはともかく。捕鯨問題について考えるなら、『The Cove』を見たなら、この本の1〜3章は読んでおいた方がいいと思う。

●「鳥脳力 小さな頭に秘められた驚異の能力」渡辺茂著、化学同人、ISBN978-4-7598-1332-6、2010年4月、667円+税
2010/10/7 ★★

 実験的に鳥の学習能力を中心に調べている研究者が、鳥(の脳)にどんな能力があるかを、ダラダラと紹介した一冊。自分の研究室での成果に加え、その分野の最新の知見まで紹介してくれており、まとまりはないが内容はもりだくさん。
 残念ながら、唯一自身の専門外の鳥の進化について語った1章はいただけない。隠れ恐竜ファンってことなんだろうか。鳥を調べて恐竜を知るのが真の目的なんだろうか。とにかく、1章は読み飛ばすことをお薦めする。
 2章以降は、専門分野だけに内容も面白い。2章で鳥の脳の基本を紹介したあとは、さまざまなトピックについて論文や自身の研究成果の紹介に、自身のコメントをはさみながら進行していく。講議ノートがベースになっているらしく、内容もまさにそんな感じ。取り上げられるトピックは、自種認知・記憶・思い出、道具使用、ナビゲーションシステム、鳥は美・音楽・論理・言語・自己を理解あるいは認知するかという諸問題。この分野にあまり明るくないからだろうけど、個々のトピックについて一々驚きがある。
 鳥って、動物って、意外といろいろできるんだね。そして、カラスが賢いっていう言説は、ある意味正しいんだね。鳥の能力に多少なりとも興味があれば、楽しく読める。似たようなテーマの本は他にもでているが、この本が一番面白そう(他のはパラパラとながめただけだが)。研究者自身が書いてるからかもしれない。

●「粘菌 その驚くべき知性」中垣俊之著、PHPサイエンス・ワールド新書、2010年5月、ISBN978-4-569-77786-3、800円+税
2010/9/27 ★★

 粘菌研究でイグノーベル賞をもらった著者が、まさにイグノーベル賞をもらった研究を含め、粘菌の問題解決方法についての研究を紹介した一冊。
 第1章はイントロ、第2章は粘菌の紹介。第3章から第5章で、イグノーベル章を受けた粘菌が迷路を解き、最短経路を見つける話。第6章以降も粘菌の問題解決能力の話ではあるが、だんだん毛色が変わってくる。第6章では、粘菌の周期変動の予測能力や記憶の話。第7章では、迷いや個性の話。最後の第8章では、粘菌を使った実験から離れて、粘菌をネタに知性とはなにかという問題を軽く暑かっている。
 少なくとも第6章までを読むと、著者の興味は粘菌の能力にあるのではなく、粘菌が問題解決に使っているアルゴリズムの解明にあるように感じた。いやむしろ、粘菌の問題解決のパターンから着想をえた問題解決モデルの有効性にこそ興味があるように思われる。著者は、多くの周辺領域との共同研究を進めているようなので、共同研究者の中には、粘菌ではなく、そこから派生したモデルの挙動に興味を持っている人が多そうな印象。粘菌を飼ってるだけ(といっては失礼だが)の著者の興味は、どこに向かってるのだろう?と思っていたら、第6章の半ばから第7章。ここに来て、ようやく粘菌の能力自体が問題とされたと言っていいだろう。著者は粘菌自体の能力にも興味があるらしい。まあ、飼ってるなら当たり前か。
 最後の章は、それまでの章で先走って口走ってきた「知性」という言葉についての著者なりのアフターケア。というより言い訳? 187ページにこうある「人間がどうすればよいか、はっきりとわからないような状況でも、うまく生存目的を実現できるのなら、知的であるといってもよいのではないでしょうか?」 知的である、すなわち知性があるということ。ある程度以上の問題解決能力があれば、著者はあらゆるものに知性を認めてくれるらしい。ここらへんは、もう少し議論を深めてもらってもよかったかも。

●「ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想」畝山智香子著、化学同人、2009年11月、ISBN978-4-7598-1328-9、1600円+税
2010/9/3 ★

 著者は、国立医薬品食品衛生研究所の研究官。残留農薬、食品添加物、発がん物質、重金属、健康食品など、さまざまな食に係わる化学物質の影響を、リスク評価の立場から解説してくれる一冊。
 残留農薬や食品添加物の基準値の決まり方を解説する第1章。発がん物質を含めた発がんリスクを評した第2章。メチル水銀やトランス脂肪酸のリスク分析をしてみる第3章。健康食品を一刀両断にする第4章。それぞれの章がかなり独立性が高く、それぞれのテーマを解説してくれる。慣れない言葉や面倒な計算は読み飛ばして、話を骨子を追いかけるだけでも、それなりに勉強になる。合成された化学物質よりも天然物質によりリスクの高い物があるという指摘(タマネギを食品添加物と考えたら認可されないだろうという指摘は秀逸)。ハーブやサプリメントは効果がないどころか,かえって有害な場合が多いといった指摘。多くの人に参考になる事が随所に書かれている。
 健康食品を一刀両断にするパートは読んでいて気持ちがいいのだが、残留農薬や食品添加物についてのパートは安全性を強調しまくりなのが気になるところ。健康食品のパートには、動物実験の結果が人間に当てはまるとは限らないことが繰り返し出てくる。しかし、残留農薬や食品添加物のパートでは、動物実験の限界がまるで触れられていない。実験対象と人間の違いだけでなく、本当に長期的な影響がどうなるのか、他のさまざまな新規の物質との複合的な効果の可能性への言及もない。この違いは,著者の立場がさせるのだろうか?
 結論は、むやみに残留農薬や食品添加物に神経を尖らせるよりも、健康食品やサプリメントに走るよりも、バランスよく多様な食品を食べよう!というもの。結局のところ我々は自分がどんな物質を食べているのかほとんど知らないんだから、リスクを分散するしかないってことか。

●「生物多様性とは何か」井田徹治著、岩波新書、2010年6月、ISBN978-4-00-431257-4、720円+税
2010/9/2 ★★

 著者は、地球環境問題や生物多様性に関わる著書を多く出版している記者。生物多様性とは何かを解説しているというよりは、生物多様性と人が世界でどのように関わり合っているかを紹介している一冊。
 第1章では、生態系サービスという概念、経済の枠組みで生物多様性を扱う方向性を紹介。第2章では世界で起きている生物の絶滅や生態系の変化を紹介し、生態系の負債(エコロジカル・デッド)という言葉も登場。第3章では、世界のホットスポットのそれぞれが、どんなに危機的な状況にあるかを具体的に紹介。第4章では、逆に生物多様性の危機に立ち向かう動きを紹介。第5章では、生物多様性条約の現状と今後の可能性が示される。社会的に責任のある投資、生物多様性関連のリスク管理、認証ビジネス、生物多様性オフセットなどが登場。
 第2章の危機と、第3章の再生への動き。全体的には、利益を追求する経済活動の中で生物多様性を守っていく仕組み作りの可能性、経済行動を変える事で生物多様性が守れないか考えようという感じ。あまり紹介されていない分野・動きではあるが、生物多様性の保全を考える上で重要な一つの方向性に違いない。その入口を見せてくれるという意味で評価できる一冊。

●「自然が好きになる楽しい生きもの図鑑」中西崇雄・横山悦子著、NPO地域と自然、2010年2月、850円+税
2010/8/31 ☆

 三重県名張市のNPO法人が自費出版したハンディな水辺の生き物を中心にした図鑑。登場するのは、草本90種、樹木35種、淡水魚29種、その他の水辺の動物30種、鳥類28種。151ページに合計212種がギュウギュウと詰め込まれている。
 草本はなぜか食べられるかどうかを重視! 樹木は、どんな鳥や昆虫がよく来るかが示されている。淡水魚は、側面だけでなく、背面や腹面の画像も載っていて、これは便利。その他の水辺の動物は、水質指標生物としての扱いで、どんな水質階級で見られるかが示されている。でもって、カワゲラ、トビケラ、タニシなど種群でまとめられているのも多い。鳥にいたっては、たった2ページに画像と鳴き声がまとめられているだけ。
 鳥のこんな扱いだけでもお勧めしないぞ! というのはさておき、識別のための図鑑と言うより、種名がわかってからの蘊蓄のための図鑑っぽい。

●「ゆかいな聞き耳ずきん クロツグミの鳴き声の謎をとく」石塚徹文・岩本九則絵、福音館書店たくさんのふしぎ2010年6月号、2010年6月、667円+税
2010/8/30 ★★

 クロツグミのさえずりを中心にした著者の研究のさわりを紹介した一冊。複雑なクロツグミのさえずりを、ソナグラムを使わずに、自分の耳で聞いたままに仮名書きして、クロツグミの個体識別ができる! という著者の発見。それから見えてくるクロツグミの社会的な関係。とても面白い研究をかいま見せてくれる。
 短い一冊の中では仕方がないのだけれど、あくまでもかいま見せてくれるだけなのが不満。データが見たくなる内容なのだが、当然ながらデータもほぼ出て来ない。でもまあ、これを読んで興味を持てば、論文を読めってことかと。論文になってたっけ?

●「日本らしい自然と多様性 身近な環境から考える」根本正之著、岩波ジュニア新書、2010年5月、ISBN978-4-00-500654-0、780円+税
2010/8/26 ★

 草地環境を中心に、その多様性減少の現状を紹介し、その原因を人間活動の変化から読み解く。草本の暮らしについても様々に解説。
 日本の自然を植物を中心に語られる時、森林が語られる事が多い。その中で、草本が中心となっているのは、とても新鮮味がある。第3章「日本人は自然をどのように利用したか」で紹介される野焼きや焼き畑の現状は面白い。全体的に土壌の影響を重視し、肥沃な土壌が外来植物をはびこらせる一つの原因という指摘も面白かった。農薬や園芸植物に関する姿勢も、興味深い。
 でも、全体的にはまとまりの悪い一冊かと。

●「アリの背中に乗った甲虫を探して 未知の生物に憑かれた科学者たち」ロブ・ダン著、ウェッジ、2009年12月、ISBN978-4-86310-063-3、2100円+税
2010/6/25 ★★★

 アリの研究者であり、大学の教官でもある著者(サイエンスライターでもあるらしい)による「未知の生物に憑かれた科学者」を紹介する1冊。「あなたの故郷にも、月はありますか?」 印象的な一文から始まる本書は、連作短編集のように、次々と未知の生物に憑かれた研究者を紹介しつつ、やがて地球がいかに生命に満ちているかが明らかになってくる。
 まずはリンネとレーウェンフックに始まる。すべての生物に名前をつけようとしたリンネ、顕微鏡で微生物を発見したレーウェンフック。それから時間がすぎて、地球上にいったい何種の生物がいるのかを考えたアーウィン、そのすべてに名前をつけようとしたジャンセン。話は変わって、細胞内共生説を唱えたマーギュリス、古細菌という第3のドメインを見つけ(同時に分子系統をはじめた)たウーズ。深海の生物相の発見、地中の生物相の可能性。宇宙の知的生命体の探索、火星の生物の可能性。さまざまな研究者の生きざまを紹介しつつ、我々が思っている以上に地球に生命が満ちていて、我々がいかに生物多様性に無知なのかを教えてくれる。
 「地球の無生物帯はまだ見つかっておらず、未確認領域はいくらでも残されている。地球の表面でさえ、まだ研究されていない生物であふれている。人体のなかにさえ、未知の種や名もなき種が存在する。この地球には、まだたくさんのものが残されている。われわれが知っている以上に、われわれが想像しうる以上に、多くのものがここには存在するのだ。」
 トピックのとりあげ方がバランスがとれていて、読みやすい。わからないものはわからないと書いてあるし、これからの検証待ちのトピックにはその旨書いてある。出展が明記してあるのもグー。短編エピソードを積み重ねながらも、全体を通じたテーマがちゃんとあるのもよくできている。
 学生時代にこれを読んでいたら、微生物学を志していたかも、あるいは昆虫やダニを調べようと思ったかも。発見生物学ってちょっとバカにしてたけど、意外と面白そう。

●「ガラパゴスのふしぎ」NPO法人日本ガラパゴスの会著、ソフトバンククリエイティヴ、2010年3月、ISBN978-4-7973-5802-5、952円+税
2010/6/10 ☆

 ガラパゴス諸島の環境、生物相、保全の現状を紹介した一冊。まず例によってダーウィンとの関わり、そして地形や気候を紹介した後に、その有名な特異な生物相が紹介される。最後に世界自然遺産第1号に登録されながら、現在は危機遺産になっているガラパゴスの現状とともに保全の取り組みが紹介される。
 ガラパゴスの色んなことを、手軽な一冊にまとめた本は他にあまりない。そういった意味では意義がある。が、ガラパゴスにものすごく興味のある人はともかく、ちょっと興味がある程度では、1冊読みとおすのはかなりつらい。執筆者の中には必ずしも専門でない人も含まれ、進化の解説等で気になる部分もなくはない。

●「地球温暖化の予測は「正しい」か? 不確かな未来に科学が挑む」江守正多著、化学同人、2008年11月、ISBN978-4-7598-1320-3、1700円+税
2010/5/12 ★★

 著者は、国立環境研究所地球環境研究センター温暖化リスク評価研究室長。つまり、日本におけるシミュレーションによる地球温暖化予測の中心的人物。この本では、地球温暖化の予測が正しいかという議論ではなく、どのようなモデルによって地球温暖化が予測されたのかが解説される。
 一般向けにわかりやすく書こうとしているのは、よくわかる。が、やはり多くの人にはシミュレーションモデルは敷き居が高そう。そして、研究者たる著者が精一杯易しく説明してくれても、けっこう難しいのではないかと思う。ただ、幸いなことに、畑違いの研究者には、ちょうどいい易しさの解説になっている。おかげで色々とよくわかった。面白かった。
 意外だったことは二つ。一つは、地球温暖化を予測するモデルって、驚くほど単純な関係式を比較的少しだけ組み合わせてあるだけなんだなぁってこと。もちろん年々色んな要素を取り込んで、精度をあげる努力をしてるけど、ベースはとても単純。たしかに現実を理解するためのモデルは少数の基本的な関係から組み上げるのがかっこいい、というかどの要素が重要かを見極めるために作るもの。が、現実をシミュレートするのが目的なら、できるだけ現実に近付けるために、いーっぱいぶち込んでるのかと思っていた。もう一つは、このモデルでは、初期条件は結果にあまり影響しないということ。明日の天気予報ならいざ知らず、ってことらしい。本当に初期条件は関係ないのか気になる。その点についてのちゃんとした説明はなかった。
 とにもかくにも、他の地球温暖化を取り上げた本とは一線を画するのは確か。とくに伝聞情報をもとにした揚げ足取りに終始する本は読まなくてもいいだろう。それに比べると、この本は地球温暖化が起きるかどうかの判断は読者に委ねつつ、その根拠となったモデルの説明に重点を置いている(もちろんモデルから地球温暖化を予測する著者の意見は出てくるが)。地球温暖化に興味があるなら、何を根拠に語られているかを知るためにも、一読しておくことをお薦めしておこう。

●「フィールドの寄生虫学 水族寄生虫学の最前線」長沢和也編著、東海大学出版会、2004年1月、ISBN978-4-486-01636-6、2800円+税
2010/4/23 ★★

 副題の通り、ベントス、プランクトン、海藻、魚類、両生類、海生哺乳類につく、さまざまな寄生虫を紹介した本。寄生虫研究者23名(はじめにによれば、日本にいるこの分野の研究者の多く)が、それぞれの研究内容を中心に紹介している。単に研究成果を紹介するではなく、各人が寄生虫研究を始めたきっかけを始め、未解明の部分とそれについての自分の考えまで、通常の論文には書かれない部分も盛り込まれている。逆に論文には不可欠のグラフや表はできるだけ排して、数字ではなく言葉で、定量的な記述はさけて定性的に、寄生虫の分類、生活史、生態、種間関係を解説してくれている。寄生虫研究の面白さとこれからの可能性をアピールしているところから、寄生虫研究者を増やすべく、とくに大学生をターゲットにしてるんだろうなと思わせる。そんな思惑はともかく、数字が苦手な人にも取っ付きやすく、寄生虫の多様な世界をかいま見せてくれる一冊。
 個々の話はどれも面白いのだが、全体を通じて思うのは、寄生性甲殻類の多様さ、吸虫類の普遍さ。寄生虫ってこんなにあちこちに普通にいて、そのほとんどに全然なじみがないことに驚く。それでいて、そこに展開されている世界は、多くの場合ミクロなスケールだが、とてもダイナミックで興味深い。あと、寄主を乗り換えるために、寄生者が寄主の行動をコントロールするって、とても普通なんだなということ。それにしても、魚喰いの鳥って(おそらくどれもこれも)、多くの内部寄生虫の最終宿主なんだね。せっかくなので、死体が手に入ったら、調べてみたいな〜。

●「どうしてもダムなんですか? 淀川流域委員会奮闘記」古谷桂信著、岩波書店、2009年11月、ISBN978-4-00-024147-2、1700円+税
2010/4/22 ★★★

 淀川流域委員会というのは、国が(実際には国土交通省が)設置した委員会だが、河川整備のあり方に本当に学識経験者や地域住民の意見を反映させようとした画期的なもんだったらしい(他にも似たような委員会はあるがorあったが、いずれも役人の結論を追認するだけのものだったのに対して)。徹底した情報公開と充分な時間をかけた議論。そういった委員会が設置されたこと一点を見ても、役人の中にも心ある人がいることがわかる。が、しかし、やがて心ある人は追いやられ、悪役登場。当初の委員会の設置の目的を忘れて、自分達の意のままにならない委員会に圧力をかけはじめる。それに淀川流域委員会の面々がどう立ち向かっていったかと言う物語。
 とにかくドラマ性が高い。そして明らかにヒーローがいる。最初は国土交通省側として淀川流域委員会の設置・運営に尽力していたが、やがて本省の反感をかって異動させられる。公務員を退職して、一市民として再び流域委員会に戻ってきて、委員長として国土交通省に立ち向かう。最初は敵方だったがあるきっかけで良心に目覚める学者、質問に対してもはぐらかすばかりで都合の悪いデータを出さない役人、委員にまぎれこんでいる御用学者。それに論理で立ち向かうヒーロー。支える仲間達。かっこいい〜。
 ドラマとしてはちょっとありきたり過ぎる位の設定。著者のスタンスは明らかなので、ヒーロー側はややもすればかっこよく描かれ過ぎなのかもしれない。でも、自分の経験からしても、役人側の動きにウソはないんじゃないかと思う。結局の所、思惑通りの結果以外は受け入れる気はなく、事実を隠したりは平気でしてくれると感じた。正直、まともに相手をするのが嫌になることが多い。それをめげずに闘ったというだけでも淀川流域委員会のみなさんは偉いな、と思った。
 繰り返しになるが、役人の中にも心ある人はいる。どうしようもない御用学者もいる。市民・研究者vs役人という図式は正しくない。でもまあ、どうしようもない役人もまた少なからずいるのである。その対策としては、結局、知事や政治家に仲間を送り込むってことか?
 この本は、明らかに国土交通省が悪役である。実名出まくりだし、名誉毀損で訴えられないのか心配になってしまうほど。なのに、訴えられてないことからして、ここに書かれていることは基本的に事実なんだろう(と思ってしまう)。でも、事実でも国土交通省を敵に回している感は否めない。岩波書店はよく出したもんだ。
 あとは四方山。説明責任の考え方が面白かった。ダム必要論が、堤防改修を後回しにしてでも、だったというのは初めて知った。

●「動物たちの反乱 増えすぎるシカ、人里へ出るクマ」河合雅雄・林良博編著、PHPサイエンス・ワールド新書、2009年11月、ISBN978-4-569-70830-0、880円+税
2010/4/19 ★★

 兵庫県森林生物研究センターの面々が、中大型哺乳類と人間との関わりと共存の可能性をついて、兵庫県における調査と取り組みを中心に紹介した本。登場するのは、サル、クマ、シカ、イノシシ、移入種(アライグマ、ヌートリア)。
 21世紀に入る少し前から、シカやイノシシ、あるいはアライグマやヌートリアの増加が目立ちはじめた。とくに増加していなくても里に出没するサルやクマも目立ちはじめた。必然的にこうした哺乳類と人との軋轢が生まれ、近年大きな社会問題となっている。兵庫県は北海道などと並んで、こうした中大型哺乳類の問題に先進的に取り組んできており、その中心が兵庫県森林生物研究センター。ここで紹介されている現象・問題は兵庫県だけの話ではなく、ほとんど日本中で起きていることである。その中で、兵庫県での取り組みは全国で大いに参考になるものである。
 とまあ、とりあえず誉めておいて、悪口を。別に兵庫県森林生物研究センターは悪くないし、この本に書かれていることも参考・勉強になるのは間違いないが、どうしても綺麗事に留まっている感はいなめない。思うように進まない対策、地元とのコミュニケーションの難しさ、科学的なスタンスだけでは対応できない社会的な問題、そして結局のところ兵庫県のクマ個体群は人と共存して生き残っていけるのか? 気になるいくつもの事柄があまり触れられていない。
 鹿肉をもっと食べよう! 集落に訓練したイヌを導入して、集落への哺乳類の防ごう。いろいろな提案も含まれていて興味深いのだが、一番興味深かったのは、下北半島でのサルと農家の人の関係のレポート。「日常では被害農家や地域住民は、サルに対して害獣としての否定的見解だけでなく「めんこい」などといった肯定的見解を持ち合わせており、また、非経済的な目的で営まれている農業であるため、被害をある程度「許容」している面がある」 もしかしたら、中大型哺乳類と人間が共存できる可能性もあるのかなぁ、と思わせてくる内容であった。

●「熱帯アジア動物記 フィールド野生動物学入門」松林尚志著、東海大学出版会、2009年11月、ISBN978-4-486-01840-7、2000円+税
2010/4/8 ★

 フィールドの生物学の第1弾。「研究者が自身の体験談をふまえ、その楽しさ、苦労、醍醐味など研究者でしか得られない自然界やフィールドの魅力を伝えていくシリーズ」らしく、熱帯アジア、とくにマレーシアに飛び込んでいって、マメジカの生態や哺乳類の塩場利用を研究した著者の体験がつづられる。
 シリーズ第2弾の「サイチョウ」以上に、調査結果よりも、調査前後のエピソードに満ちている。というより調査データはあんまり出て来ないと言ってもいいくらい。自分の主な調査地の紹介に留まらず、インドネシアやフィリピンを含む東南アジア一帯における経験を紹介しつつ、このエリアの森林生の大型哺乳類の危機を強く訴えている。ジャワサイ、スマトラサイ、バンテン、タマラオ、マレーバクなどなど。いずれも危機的な状況なのがよく伝わってくる。エコと称しているヤシの実洗剤が生物多様性の減少に貢献している実態もよくわかるだろう。もしもヤシの実製品を買うなら、せめてRSOPの認証を受けたものを選ぼうかと思う。
 一方で、生態学に関してはかなりアバウトな感じが伝わってくる。キーストーン種の説明等、日本語に難があるのかもしれないが、少し首をひねる部分もある。でもまあ、室内で本を読んで勉強するよりは、フィールドに出ていくタイプなんだろう。一度、夜の熱帯林にでかけて、暗闇の中に出没する真っ白なジムヌラを見てみたい。

●「地衣類のふしぎ コケでないコケとはどういうこと?道ばたで見かけるあの“植物”の正体とは?」柏谷博之著、ソフトバンククリエイティブ、2009年10月、ISBN978-4-7973-4153-9、953円+税
2010/4/7 ★★

 元国立科学博物館の著者が、謎の生き物、地衣類を紹介した一冊。地衣類の正体の説明に始まって、身近な地衣類の紹介、形態や生活史、地衣成分による化学分類(特に呈色反応)、人との関わり、標本の作り方、その他さまざまな地衣類あるあるが満載。地衣類のとっつきやすい一般向け解説書は見当たらないので、貴重な一冊。
 地衣類って菌類と藻類の共生体だと思っていたけど、いまでは共生藻類をともなった菌類として扱われているとか。地衣類の成長量を物差として、年代不明の物の年代を推定するライケノメトリーとか。地衣成分というものの結晶構造や呈色反応で同定するとか。聖書に出てくるマナは地衣類だったとか。砂漠のサボテンのとげの根元には地衣類がいっぱい付いてるとか。知らないことがいっぱいだった。

●「サイチョウ 熱帯の森にタネをまく巨鳥」北村俊平著、東海大学出版会、2009年11月、ISBN978-4-486-01841-4、2000円+税
2010/1/25 ★

 フィールドの生物学の第2弾。本自体にはぜんぜん書かれていないのだが、はさまれている「フィールドの生物学 シリーズ創刊!」という紙には、国立科学博物館の松浦啓一氏のこのような言葉がある。「研究者が自身の体験談をふまえ、その楽しさ、苦労、醍醐味など研究者でしか得られない自然界やフィールドの魅力を伝えていくシリーズ。この本を読んで、自然とそこに棲む生き物たちに興味をもち、将来、私たちの後継者になってくれることを期待します。」
 この本は、松浦氏の言葉そのまま。何にも知らずにタイの熱帯林でのサイチョウ研究に飛び込んだ著者の苦労と喜びがつづられた一冊。サイチョウについての説明はあるものの、体系だった解説ってわけではない。自身の研究成果は紹介されるが、まだまだまとまった凄い結果が出たというわけでもない。ただ、タイでの研究環境、熱帯林での研究の進み具合、熱帯林の様子など、研究の実情はよくわかる。著者が何を考えて、どのような調査を展開していったかもよくわかる。研究者を目指している人(とくに海外で調査してみたい人)には、役立つ情報が満載だろう。鳥や熱帯林の生物に興味があれば、論文には載らない、テレビでもまず紹介されない、臨場感あふれる熱帯の生物の様子には、とても興味が持てるだろう。でも、そうでもない人が読んだ時は、どんな感想を持つのだろう?
 いやいやもちろん興味深い記述はあちこちにある。メインのストーリーはあまりはっきりせず、寄り道をくり返しまくるような構成。その寄り道はたいてい面白い。サイチョウのくちばしのあの構造はカスクというらしい。たいていのサイチョウのカスクはすかすかだが、オナガサイチョウのみ象牙質で、それを空中でぶつける一騎討ちをするらしい。1992年以降、4-5年に一度、世界のサイチョウ研究者が一同に会する国際サイチョウ会議というのがあるらしい。タイには樹冠部の植物標本を採取するために訓練されたブタオザルがいて、ボタニカル・モンキーと呼ばれているらしい。ホエジカを丸のみしたアミメニシキヘビは数日間同じ場所に転がっているらしい。ヒヨドリに興味がある者としては、テーマが種子散布なので、メインの研究成果もとても面白かった。

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