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本の紹介「三つの石で地球がわかる」

「三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス、2017年5月、ISBN978-4-06-502015-9、920円+税


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【西本由佳 20170820】【公開用】
●「三つの石で地球がわかる」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス

 三つの石というのは、かんらん岩、玄武岩、花崗岩のこと。地球の地下70qから2900qくらいを占めるマントルをつくる石がかんらん岩で、地球体積の82.3%にもなる。玄武岩は海洋地殻をつくり、花崗岩は大陸地殻をつくる。ざっくりと、この三つの成り立ちやふるまいを見れば、地球がだいぶんわかりやすくなる、というのがこの本の趣旨。地学の本とかで、火成岩、堆積岩、変成岩と並んでいると、何となくそれらを等価に考えていたけど、三つの石はすべて火成岩。火成岩がそもそものはじまりなのだということが、わかりやすかった。

 お薦め度:★★★  対象:石の名前にわずらわされずに地学を楽しみたい人


【冨永則子 20170823】
●「三つの石で地球がわかる」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス

 地球の全体積を占める割合として、橄欖岩が82.3%、玄武岩が1.62%、花崗岩が0.68%、他に金属が15.4%なのだそうだ。だから、この「橄欖岩」「玄武岩」「花崗岩」の三つの岩石を覚えれば地球が分かるらしい。それならばと思って読み始めたが…。三つで良いと言いながら、一つ一つを理解するのに色んな名前が出てくる。何とか理解しようと読んでいったら、最終的には「ここまでは覚えなくてもいい」と括られる。それが度々なので読むのが嫌になった。初めからブルーバックスの読者層を想定した内容になっていて、私のような“ド”がつく初心者には向かない。ある程度の理解があって、岩石って難しいなぁと思ってる人にはいいのかも? どなたか、ドがつく初心者向けの本を紹介してください。

 お薦め度:★★  対象:ブルーバックスのシリーズを読み慣れてる人に


【中条武司 20170824】
●「三つの石で地球がわかる」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス

 表題通り、「橄欖岩」「玄武岩」「花崗岩」の3つの岩石で地球を語る大胆な本。地球上の岩石はこの順序で量が多く、それを知れば地球の成り立ちがわかるそう。できるだけやさしく書いてはくれているけど、それでも端々に専門的な用語や化学式がでてくる。結晶分化作用の説明でカレーの例えは、説明が少なく何のことやらわからない。玄武岩・花崗岩はともかく、橄欖岩って普段見ることのない珍しい岩石を説明されてもピンとこないし。岩石を理屈で説明するのはやっぱり難しいねと妙な納得をする本。

 お薦め度:★★  対象:岩石の基礎を知っている人には


【西村寿雄 20170822】
●「三つの石で地球がわかる」藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス

 「三つの石を覚えるだけで、石というものの本質がわかります」と〈はじめに〉で言い切っている。「それなら読んでみようか」と読者は引き込まれるかも。しかも、石の性質の他、地球の進化にまで話が及ぶ。さらに、石をつくっている元素の話から結晶の話まで網羅されていて地質学と科学とを結びつけるなど、なかなかユニークな発想の本である。
 三つの石とは…花崗岩に玄武岩、それに橄欖岩(かんらんがん)を取り上げている。橄欖岩はふつうには地上では余り見られないがマントルにはたくさんあり地球には重要な石である。それにオリビン(ペリベット)として宝石にもなっているのであんがい親しみやすい石かも知れない。
 三つの石から地球のドラマが満喫できる。どんなドラマが始まるだろうか、それぞれ興味に合わせてのお楽しみにどうぞ。

 お薦め度:★★★★  対象:石の名前に辟易している人


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