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本の紹介「6度目の大絶滅」
「6度目の大絶滅」エリザベス・コルバート著、NHK出版、2015年3月、ISBN978-4-14-081670-7、2400円+税
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【西村寿雄 20150619】【公開用】
●「6度目の大絶滅」エリザベス・コルバート著、NHK出版
地球は過去に5回生物の絶滅期があったことが分かっている。それらの原因としては、隕石の衝突、火山の噴火、氷河期到来など自然の天変地異があげられている。そして今現在も、生物の大量絶滅のまっただ中にあると著者は言う。さらにその現在進行形の動物絶滅の原因は……人類にあると言う。人類が他の生き物の絶滅に関与しているとはなんという運命だろうか。黄金のカエルに始まって、マストドン、オオウミガラス、スマトラサイの死滅は人類による殺戮が原因という。そういえば第四紀末からの哺乳類大絶滅の原因は人類による捕殺にあると指摘されていた。フデイシ、サンゴなどの海中生物の死滅にも人類が関わっている。大気中の二酸化炭素濃度の増加による海洋の酸性化がその原因という。さらに菌類拡散による小動物絶滅の危機にも人類がかかわっている。推理小説を読むかのように生命大絶滅のシナリオが展開されている。
お薦め度:★★★ 対象:生物の絶滅史に関心のある人
【萩野哲 20150624】
●「6度目の大絶滅」エリザベス・コルバート著、NHK出版
かつて地球を襲った大激変により、何度も生物の多様性が失われた。そのうち大規模なものが「ビッグファイブ」*と呼ばれる。そして今、人類が「6度目の大絶滅」を起こしつつある。カエル、大型動物(比較的最近の有史以前のマストドンなど)、オオウミガラスなど、人類が直接間接に絶滅に手を貸した13の物語が本書に紹介されている。人類の活動は良しにつけ悪しきにつけ、世界を改変してしまう。第5章のタイトルになっているように、多くの意味において人類に支配された現在の地質区分は「人新世」と呼ぶのが適切なのだろうか。
*オルドビス紀末(4億5千万年前)、デボン期末(3億5千万年前)、ペルム紀末(2億5千万年前)、三畳紀末(2億年前)、白亜紀末(6千5百万年前)
お薦め度:★★★ 対象:人類の活動の影響に関心がある人
【和田岳 20160618】
●「6度目の大絶滅」エリザベス・コルバート著、NHK出版
地球では、恐竜の絶滅をはじめとして地質時代に5度の大量絶滅が起きた。そして現在、人が原因となって、6度目の大量絶滅が進行中。サイエンスライターが、世界各地の絶滅が進行している現場におもむき、6度目の大量絶滅の実際をレポート。
絶滅という現象と過去の大量絶滅の紹介に続いて登場するのは、海の酸性化で危機にある貝類と珊瑚、地球温暖化によって分布域が変わりつつある樹木、熱帯雨林の分断化によって姿を消していくグンタイアリなどの動物、人によって持ち込まれたカビで次々と死んでいくコウモリ、人に狩られて次々と絶滅していくスマトラサイなどの大型獣。
目を背けたくなるような地球の現実が並ぶ。そして、それは現生人類にまで及ぶかもしれない。人類に警鐘を鳴らしまくる一冊。
お薦め度:★★★ 対象:タイトルを見て何の話か分からない人
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