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本の紹介「奄美でハブを40年研究してきました。」
「奄美でハブを40年研究してきました。」服部正策著、新潮社、2024年3月、ISBN978-4-10-355571-1、1600円+税
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【里井敬 20240626】【公開用】
●「奄美でハブを40年研究してきました。」服部正策著、新潮社
ハブは何もしなければ襲ってくることはない。と、言いながら、顔が怖い、大量の毒で筋肉を溶かす、孵化直後でも50cmあり、巨大なのは2m40cmになる。噛まれたら腫れ上がり、治療も痛い。下手すると命を落とす。と、聞くと『怖い』だらけだ。そんなハブは捕獲したらお金になるので年に1万匹も捕らえられていて、推定10万匹もが棲んでいるらしい。本の帯に「→次の旅先は奄美一択!」と書かれているけれど、I部を読んで、怖いだけで、そんな気になれない。しかし、U部での自然の多様性と独自性を読んだら気持ちは変わった! 奄美は東洋のガラパゴスと言われているらしいが、奄美群島はガラパゴスよりもっと古い。独自の進化をとげたので固有種が多いのだ。40年間、週末ごとに島中の山に通った著者が語る、おすすめ場所、そこで見られる動物や植物。奄美は魅力でいっぱいだ。V部の仏教ぽいカトリックや命がけの選挙などの文化の紹介も興味深い。奄美へ行きたい!!
お薦め度:★★★★ 対象:奄美のことを知りたい人
【萩野哲 20240623】
●「奄美でハブを40年研究してきました。」服部正策著、新潮社
通常4〜5年の人事ローテーションからはずれ、40年もの間奄美の研究施設に留められた著者。本書はその間の経験を二部構成で語っている。まずはT部のハブ。体長2.4m超、体重3kgで、主にネズミ類を食べる。家屋を含め、どこでも生活できるのはアオダイショウ的。ハブに会ったことないけど、人口より多いらしい。ハブ毒の毒性は弱いが注入量が多く、様々な成分が含まれており、血清は万能ではないので、咬まれたら徹底的な吸出しが有効。次にU部の奄美の自然。今やガイドさんなしの散策は難しいが、三太郎峠のナイトツアーや金作原原生林ツアーはお勧め。未だに測量されていない場所もあるらしい。選挙の様子も書かれているが、奄美の人はハブより怖い。鶏飯をほめているが、私の経験では大したことなかった。
お薦め度:★★★ 対象:奄美に興味がある人
【和田岳 20240627】
●「奄美でハブを40年研究してきました。」服部正策著、新潮社
なぜか異動もなく40年間、東京大学の奄美大島にある研究施設に勤めた著者。仕事でハブを研究し、休日は山歩き。奄美大島の動植物の専門家として、世界遺産指定にも関わった。そんな著者が語った話を、ライターが補足しまとめた一冊。
第1部はハブの話。注目は、ハブに噛まれたらどうするか。一般の教えとは違い、噛まれた直後に、できるだけ毒量を減らすのが肝心だという。そのため患部を洗って、吸って吸って吸いまくるといいらしい。ポイズンリムーバーは使えるとのこと。同行者が臭い足を噛まれたら悲劇。吸ってあげない訳にはいかないかなぁ。ハブはネズミをよく狙うので、山より里の方がいる可能性が高いというのも覚えておきたい。ハブ捕りの世界。ハブを食べる話。ハブとマングースの対決の話。ハブ捕り罠を研究した話も気になる。
第2部は奄美の自然の話。奄美のオススメ10スポット。奄美のナチュラリスト紹介。奄美の食べ物、とくに鶏飯と黒糖焼酎。そして命がけのかつての選挙。とにかく奄美大島に行ってみたくなる。
お薦め度:★★★ 対象:奄美大島に行きたくなりたい人
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