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本の紹介「アオバトのふしぎ」

「アオバトのふしぎ」こまたん著、エッチエスケー、2004年4月、ISBN4-902424-00-2、1600円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
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【六車恭子 20040416】【公開用】
●「アオバトのふしぎ」こまたん著、エッチエスケー

 「こまたん」とは生の現象そのもの。照ヶ崎に飛来するアオバトの魅力にとりつかれた「アオバト探険隊」の面々の総称だ。15年もの間人々の興味を繋ぎ、アオバトは終わりのない謎を提供し続ける。
 何故海水を飲むのか?照ヶ崎に飛来するアオバトは何処からやってくるのか?その生息数は?冬に海水を飲まないのは何故?アオバトに関する歴史的文献から、生物地理学的な由来、繁殖生態調査の記録、分布地図といったぐあいに「アオバトのすべて」を求めてこれからもこまたんは貪婪に探究し続けるだろう。平塚博物館の浜口哲一氏の「トコロジスト」の精神はここにも息づいているようだ。対象を愛することこそ人を繋ぎ、物事の本質に迫る本道だということを、教えてくれる。
 
 お薦め度:★★★★  対象:知ることは人も繋げていくことだ、と実感してみたい人

【瀧端真理子 20040413】
●「アオバトのふしぎ」こまたん著、エッチエスケー

 会則もなし、会費も不要、代表者も決めていない「こまたん」。言い出しっぺがまとめ役になる”イーダーシップ”をルールとするメンバーが、アオバトの海水吸引と繁殖の謎に迫る。神奈川県大磯の照ヶ崎海岸への飛来数、飛来ルート、文献記録、全国の野鳥の会へのアンケート、食べ物、全羽毛、そして、丹沢での繁殖生態調査。集積した情報をもとに、スケジュール表を作成、「5月29日 巣を発見」と、カレンダーに予定日を書き込み、早朝からの調査がはじまる。
 ありとあらゆるアイデアを出し合い、国内外の研究者からの協力も得て、各自が得意な分野で調査に挑む。アマチュアによるグループ研究の魅力が素直に伝わるおススメの1冊だ。
 
 お薦め度:★★★★  対象:アオバトに興味のある人はもちろん、社会教育に興味のある人

【和田岳 20040625】
●「アオバトのふしぎ」こまたん著、エッチエスケー

 神奈川県大磯の海岸は、多数のアオバトが海水を飲みにやってくることで知られています。このアオバトを観察し、集まるアオバトを数え、アオバトがやってくる丹沢にまで足をのばし、といった具合に次々とアオバトの謎に迫っていく集団こまたん。謎の集団こまたんの10年以上にわたる活動の軌跡と、その成果をまとめた一冊です。
 とにかく1991年に水を飲みやってくるアオバトを、毎日のように観察したデータはすごい。早朝から丹沢に行っての調査も大変だろうし。とにかくグループのパワーに驚かされます。
 アオバトが、いかに多くの謎を秘めた興味深い鳥であることが充分に伝わってきます。
 
 お薦め度:★★★  対象:アオバトに多少なりと興味のある人

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