【萩野哲 20170821】【公開用】
●「バッタを倒しにアフリカへ」前野ウルド浩太郎著、光文社新書
孤独なバッタが群れるとき」の著者の第2作。今回は研究成果より苦労話を満載した内容となっている。ファーブルのようになりたいとの願望、バッタを撲滅したいとの使命感のようなものが先行するかなり無計画に行動する性格のようだが、著者の意気込みを理解してくれる周囲の人々の暖かさもあって、なぜか非常に幸運にもよい方向に進んでいく。そのためか、大変な苦労にもかかわらず、悲壮感はさほど感じることなく、明るく、楽しんで読める。
お薦め度:★★★ 対象:楽しい苦労話を読み、こんな人生もあるのだと感じ入りたい人
【森住奈穂 20170824】
●「バッタを倒しにアフリカへ」前野ウルド浩太郎著、光文社新書
バッタを愛しすぎていることが、一目で見てとれる表紙、そして裏表紙。ファーブルに憧れ、職業・昆虫博士になるために31歳でアフリカ・モーリタニアへ。無収入に陥りながらも歩みを止めず、自身の研究がバッタ被害からアフリカを、人類を救うと信じ奮闘した3年間の滞在記。バッタが飢饉を引き起こすことはずっと繰り返されてきたことで、さぞ研究も進んでいるだろうと思っていたけれど、意外にもアフリカで腰を据えた研究はなされていないそうだ。さらに、行けば会えると思っていたバッタの大群に巡り会うのも一苦労とは。行ってみなきゃ、出会ってみなきゃ、分からないことだらけだ〜。登場人物がみんな魅力的で、遠いモーリタニアが少し近くなった気がする。
お薦め度:★★★ 対象:夢を追う人生を目撃したいひと。こってり系が好きなひと
【和田岳 20170714】
●「バッタを倒しにアフリカへ」前野ウルド浩太郎著、光文社新書
「孤独なバッタが群れるとき」の著者、バッタ博士による第2弾。前作が院生時代中心で、バッタの飼育と室内実験の話だったのに対して、こちらはポスドク時代のモーリタニアでの話が中心。
モーリタニアへ行って、運転手のティジャニ、庇護者であるババ所長との知己を得て、いざバッタの研究を。と思ったら、バッタがいない。困った困った。困ったからいろいろ脱線するけど、最後には…、という話。
フィールドワークなんてろくにしたこともないのに、単身アフリカに乗り込むという勢いがすごい。その勢いで、いろんな人を巻き込んでなんとか夢に向かって進んでいく。ある種のサクセスストーリー。物語として、とても面白い。
ただ、前作と違って、ぜんぜん研究の中身が出てこない。ゴミダマはさておき、アフリカでのバッタ研究の中身はまるで不明。そのせいで、バッタの普及書ではなく、変人研究者のエッセイという趣。
お薦め度:★★★ 対象:バッタ博士ファン