【森住奈穂 20180222】【公開用】
●「ボクが逆さに生きる理由」中島宏章著、ナツメ社
コウモリに魅せられ会社を辞めて、コウモリ写真家として活動する著者。コウモリに対するネガティブなイメージがまるっきり「逆さま」になれば望外の喜びと、とにかくコウモリ推しの圧がすごい。世界中のコウモリの紹介やその生態、飛行メカニズム、長寿の秘密など、さまざまな話題が登場するなか、わたしが最も興味深かったのはエコーロケーション。その精度たるや、物体表面の質感がわかるほど。卵の表面より細かい凹凸(0.002ミリの距離差)を認識できるらしい。す、すごすぎるー!ほかの個体の声と混信しない仕組みも、よくできてるなぁと感心。私たちの身近に暮らしている割に、馴染みの薄いコウモリ。そもそも間近で姿を見る機会が少ない。口絵写真は素晴らしいけど、もっとたくさん写真が見たかったなぁ。
お薦め度:★★★ 対象:コウモリでワクワクしたいひと
【西本由佳 20180218】
●「ボクが逆さに生きる理由」中島宏章著、ナツメ社
コウモリ写真家によるコウモリの話、というから軽い読み物かと思ったら、えらく難しい話もあった。コウモリは逆さで前足が自由だったから飛べるようになったとか、飛ぶ必要がないとあまり飛ばないコウモリとかは気楽に読めたが、第3章は「飛行メカニズムの謎に迫る」と題して、かなり物理のお話が入る。ここまで書くかなと思うのと、それほどまでコウモリの「飛ぶ」という能力に魅せられたんだろうなと、改めて「飛ぶ」ということのすごさを感じた。コウモリがエコーロケーション(超音波)で虫を探すとき、目の前の虫だけでなく、その次に狙う虫の位置も見据えている、という話に対する著者の感想が、「常にチラ見しながら食事をしているということか、かわいいな」というのには笑ってしまった。
お薦め度:★★★ 対象:コウモリに不気味なイメージを持っている人
【萩野哲 20180219】
●「ボクが逆さに生きる理由」中島宏章著、ナツメ社
第1章のタイトル、「コウモリのこと、どれくらい知っていますか?」に正に答える内容になっている。眼の進化などとともに謎とされてきたコウモリの進化に関する事情、超音波の謎等の最新の答えが本書に満載されていて、多くの疑問に答えてくれる。ただし、第3章の飛翔のメカニズムは大変詳しいが数式が難しいので、とりあえず信じておこう。巻頭のビジュアルギャラリーも選りすぐりである。雪の中からコテングコウモリが出てきたら楽しいだろうなあ。
お薦め度:★★★ 対象:コウモリが今まで好きだった人と、これから好きになる人
【和田岳 20180215】
●「ボクが逆さに生きる理由」中島宏章著、ナツメ社
コテングコウモリの伝道師として知られた(?)著者のコウモリ本。コウモリのイメージからはじまり、進化(とくに飛ぶための適応)、飛行のメカニズム(ちょっと難しい)、エコーロケーション、長寿と冬眠と、次々とコウモリのさまざまな側面が紹介される。
世界最大のコウモリが翼を拡げるとなんと1.5m! コウモリの飛ぶスピードの最高記録は、なんと時速75〜95km! エコーロケーションって便利そうで、意外と近くのことしか分からない。コウモリはけっこう長生きで、なんと41年も生きた記録がある! などなど、コウモリについてのさまざまな面白ネタが満載。
お薦め度:★★★ 対象:コウモリが気になる人