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本の紹介「カリブーをさがす旅」
「カリブーをさがす旅」前川貴行著、福音館書店たくさんのふしぎ2014年2月号、667円+税
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【森住奈穂 20140626】【公開用】
●「カリブーをさがす旅」前川貴行著、福音館書店たくさんのふしぎ
野生動物の写真家である著者が、アラスカに住むカリブー(トナカイ)を探す旅に出た。訪れたのは5月と7月。春から夏にかけて、カリブーは豊かな食べ物を求め北へ数千キロにもわたる大移動をするという。見渡す限り続く荒野には、意外にもさまざまな生きものが暮らしていた。人間も然り。エスキモーはカリブーの肉を食べ、毛皮で暖をとる。狩りや獲物の解体方法は一族の若者へ伝え継がれる。ところどころに雪の残る灰色の5月と、一面の草原となった緑の7月の風景は対照的で、わずか2カ月でこうも姿を変える大地にまず畏敬の念を覚える。そして、そこで生き抜くすべての命にも。
お薦め度:★★★ 対象:風に吹かれ風のにおいを感じたいひと
【岩坪幸子 20140625】
●「カリブーをさがす旅」前川貴行著、福音館書店たくさんのふしぎ
野生の動物写真家がアラスカにすむカリブー(日本ではトナカイと呼ばれている)の大群の写真を撮りたいと思ってアラスカに行った旅行記です。初めて行った飛行機の中から撮った写真やエスキモーの暮らしぶりなどアラスカについての紹介があり、興味深いです。カリブーの狩りの模様は生々しいけれどそれがエスキモーの暮らしなのだと思いました。アラスカにすむ他の野生動物についてもたくさん紹介されています。なかなか見つからなかったカリブーの大群に出会ったときは「すごい!」と興奮しました。
お薦め度:★★★★ 対象:野生の生き物に関心のある人、アラスカに興味のある人
【西村寿雄 20140615】
●「カリブーをさがす旅」前川貴行著、福音館書店たくさんのふしぎ
この本は、極寒のアラスカで生きる野生動物に密着した迫力みなぎる写真集である。著者は5月に北極圏に近いアラスカの村を訪れる。雪をかぶった山々が取り囲む極寒の地にもエスキモーは住んでいる。毛皮をぬっているおばあさんは語る。「私たちは、カリブーの生肉を食べ、カリブーの毛皮を使って服や敷物を作ってきた」と。アラスカのエスキモーはすべてカリブーの恵みに助けられて生きているのだ。狩りに著者も同行する。数頭のカリブーが見える。エスキモーはすかさずライフルをかまえカリブーをしとめる。エスキモーの若者は倒したカリブーをすぐにナイフで解体に取りかかり内臓を口にほうばる。自分で食べるために動物を殺したことのない人間には理解できない光景が展開する。しかし、それが「自力で生きる者の自然な姿」なのだ。広大なアラスカ台地を背景に野生動物の息づかいが感じられるレポートである。
お薦め度:★★★ 対象:自然環境、アラスカに関心のある人
【六車恭子 20140627】
●「カリブーをさがす旅」前川貴行著、福音館書店たくさんのふしぎ
悠久の時間がながれる極北の大地、アラスカを旅した写真絵本。「動物にあわせる時間」を第一と考える写真家だからこそ、この星の「ツンドラのゴースト」と呼ばれるカリブーの姿をとらまえることが出来たのだろう。蛇行して流れるユーコン川、ブルックス山脈の雪をいた抱く峰々、「アナクトブックパス」でのエスキモーの人々の暮らし、カリブーをさばくシーンはまるでカリブーと踊っているように見えたと言う。カリブーを狩るグリズリーやオオヤネコ、他の野生の生き物たちも命を引き継ぎながら、この極北の大地で生きる!今もむかしも未来も。運んだ命がその地の命とであう、旅とは生きる最前線であることを知りえた本である。
お薦め度:★★★★ 対象:地球の奥深さを知りたい人なら誰でも
【和田岳 20140627】
●「カリブーをさがす旅」前川貴行著、福音館書店たくさんのふしぎ
カリブーの大群を撮影しようと動物写真家がアラスカに行く。車で出かけても、飛行機を飛ばしても、少数のカリブーには出会えても、カリブーの大群には出会えない。カリブーを狩って、カリブーのすべてを利用している人々の暮らしや、アラスカの他の動物たちが少し交えられ、再挑戦でついにカリブーの大群に出会う。
7月の再挑戦から話を始めればよかったのでは? 人々の暮らしの紹介が中途半端では? とか色々思うことはあるけど、雄大なアラスカの自然と、カリブーの大群が、すべてを帳消しにしてくれる。
お薦め度:★★★ 対象:カリブーの大群を一度見てみたい人
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