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本の紹介「チェンジング・ブルー」
「チェンジング・ブルー 気候変動の謎に迫る」大河内直彦著、岩波現代文庫、2015年1月、ISBN978-4-00-603280-7、1240円+税
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【中条武司 20160821】【公開用】
●「チェンジング・ブルー」大河内直彦著、岩波現代文庫
酸素をはじめとした元素の同位体組成は、地球の気候変動を克明に記録している。1950年代以降、この同位体組成を基にした研究により、地球の気候変動(主に数十万年前から現在まで)は次々と明らかになってくる。本書は気候変動を明らかにしてきた科学者を中心に科学史的に話を進めつつ、どのように地球の気候が変動してきたのか、そしてそれがどのように明らかになってきたのかを詳細に述べていく。深い海の底の堆積物や、南極やグリーランドの氷河を対象にした数多くの研究、それに関わる科学者たちの成功と挫折、そして明らかになる過去の気候変動がとてもエキサイティングに語られていく。
お薦め度:★★★★ 対象:過去から未来の気候変動を知るために、多くの人
【西村寿雄 20160816】
●「チェンジング・ブルー」大河内直彦著、岩波現代文庫
「チェンジング・ブルー」、すなわち〈変化しつつあるブルー(地球)〉の研究最前線の書である。過去の地球気候変動の証拠が多方面の研究から紹介されていく。地球上の気候変動は、数万年前から見ても何度も氷期と間氷期をくりかえしてきた。本書ではその記録を海底堆積物や、氷床などの堆積物に含まれている暗号(酸素の同位体比率)に目をつけ化学的に検証している。さらにグリーンランド,南極などでの地下コアのサンプルなどを通しても気候変動のパターンが浮き彫りにされていく。地球上の気候変動は太陽の動きにも大きく関係しているが、それだけでは解明できない何かがあると著者はみる。二酸化炭素の増加が気温上昇の「ひと押し」をしているのかもしれない。現在進行している短期間の気候変動(温暖化)についても謎解きが進む。具体的な読み物風で楽しい研究物語である。
お薦め度:★★★★ 対象:気候変動研究の実際を知りたい人
【萩野哲 20160823】
●「チェンジング・ブルー」大河内直彦著、岩波現代文庫
本書は、なぜ気候変動が起こるのか、その現代的解釈について教科書的に利用できるのはもちろん、歴史的にその変動要因を解明していった先人たちの努力や業績についても詳しく解説しており、読み物としても大変たのしい。非常に精度を要する技術や誤差の解釈についての説明など、やや難しい箇所も多々あるが、必要に迫られて気候変動の要因をよく理解しようとする際には大変役に立つに違いないと思われる。
お薦め度:★★★★ 対象:気象変動の教科書として、また気象学の歴史について知りたくなった時に手に取りたい人
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