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本の紹介「ちっちゃな科学」

「ちっちゃな科学 好奇心がおおきくなる読書&教育論」かこさとし・福岡伸一著、中公新書ラクレ、2016年4月、ISBN978-4-12-150551-4、800円+税


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【西村寿雄 20161028】【公開用】
●「ちっちゃな科学」かこさとし・福岡伸一著、中公新書ラクレ

 「かこさとし」は今年は90歳になられたとかでちよっとした「かこさとし」ブームが続いている。往年のかこさとしは、板倉聖宣と並ぶ科学読み物作家の第一人者で、氏の数多くの作品は今の世代にも広範囲に読み継がれている。さて、この本『ちっちゃな科学』は、近年のかこさとしの書き下ろしなどを福岡伸一や編集者が編集したもので全体としては紹介するほどのものではない。ただ第T章は2年前に『婦人公論』にかこさとしが書いたもので、かこさとしが絵本作家になった経緯や本への願いが率直に述べられている。ほかに第Y章の「寄り道を楽しもう!」も、かこさとしの発想が楽しく読める。

 お薦め度:★★★  対象:絵本、科学読み物に関心のある初心者
【冨永則子 20161027】
●「ちっちゃな科学」かこさとし・福岡伸一著、中公新書ラクレ

 加古さんは大正15年生まれの90歳。これまでに創作された絵本などの作品は600点余りにもなる。日本における、いわゆる科学絵本のパイオニアである。一方の福岡氏も、最近、外国の科学系絵本の翻訳や図鑑などの監修者として名前をみかける生物学者。
 この本は、NHKで放送された『好奇心は無限大』の二人の対談がメインなのだろうが、対談を読んでいても福岡氏の加古さんに対する大いなるリスペクトは感じるが、加古さんの素晴らしさは伝わってこない。収録されている加古さんの文章も既にどこかで発表時されているものがほとんどで新しみがない。加古さんがいかに子どもたちのために絵本を創作し続けてきたかを知って頂くためには、「未来のだるまちゃんへ」(文春文庫)や「絵本への道」(福音館書店)をお読みになることをおすすめする。

 お薦め度:★★  対象:ブックガイドは参考にはなるかな?
【森住奈穂 20161027】
●「ちっちゃな科学」かこさとし・福岡伸一著、中公新書ラクレ

 「ちっちゃな科学」とは、小さな子どもたちがてんでばらばらに繰り広げる「個人研究」。絵本作家と生物学者が、対談、エッセー、Q&Aなどさまざまな形式で、子どもの好奇心を強くするための各々の持論を展開する。ほぼ再録で構成されており、5章のかこさんの「子どもたちと科学よみもの」は1982年発表。「眦を決して、怒る親を待つ。」なんて気骨のある文章が読める。福岡さんの読書体験を紹介するエッセーには、鼻の奥がツーンとなり胸の奥がジーンとする。ひとりでも多くの子どもたちに、一冊でも多くの大好きな本との出合いが訪れますようにと願わずにおれない。

 お薦め度:★★★  対象:好奇心の根っこを考えたいひと
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