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本の紹介「地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか」

「地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか 太陽活動から読み解く地球の過去・現在・未来」宮原ひろ子著、化学同人、2014年8月、ISBN978-4-7598-1661-7、1600円+税


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【中条武司 20150624】【公開用】
●「地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか」宮原ひろ子著、化学同人

 気候変動の原因にはいろいろな理由が語られているが、太陽活動と気候の関係を解き明かそうとする本書。タイトルには宇宙とあるが、ほとんどが太陽活動の話。複雑系である気候変動を解き明かすのは簡単なことではないが、黒点変動、太陽磁場、フレアや太陽風、銀河宇宙線などが気候とわずかながらでも関係しているとすれば、さらに過去のものにせよ未来のものにせよ、気候変動予測はさらに難しくなる。気候変動云々は別にしても、今迫り来る危機として、太陽風などの影響による人工衛星の落下や通信障害などを予測するためにも、短期の宇宙天気予報は必要になってきている時代かもしれない。

 お薦め度:★★★  対象:太陽と地球のより深い関係を知りたい人

【西村寿雄 20150619】
●「地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか」宮原ひろ子著、化学同人

 過去に様々なイベントがあった地球気候変動の原因を宇宙に求める研究の一端をわかりやすく解説している。まずは、樹木や南極の氷の記録などを元に太陽活動11年周期の謎が解明されていく。〈磁場の星〉でもある太陽の変動は地球にもろに影響している。大量の宇宙線(放射線)が地球に雲を発生させて地球環境に大きな影響を与えているとか。さらに地球環境の大きな変動のもとは銀河系にもあるとか。恐竜絶滅の原因となったとされている巨大隕石の飛来も太陽系の乱れにあり、地球生命誕生の元も宇宙にあるという考えなども紹介している。「地球が今のように暖かで穏やかなのは、本当に束の間のことのような気がする」という著者。いずれ「宇宙天気」予報を気にしながら旅の日程を考える時が来るのだろうか。ハラハラドキドキの宇宙研究記である。

 お薦め度:★★★  対象:異常気象が気になる人

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