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本の紹介「地球の内部で何が起こっているのか?」
「地球の内部で何が起こっているのか?」平朝彦・徐垣・末広潔・木下肇著、光文社新書、2005年7月、ISBN4-334-03314-8、850円+税
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【中条武司 20060209】【公開用】
●「地球の内部で何が起こっているのか?」平朝彦・徐垣・末広潔・木下肇著、光文社新書
過去から現在・未来へとつながる地球のおいたちを知るには海の底の地面のさらに下を知るべし、という深海掘削の必要性やその成果がわかりやすく丁寧な文章で書かれている。日本が中心になって進めるプロジェクトと深海掘削船「ちきゅう」によってわかるだろう地球学の未来を紹介している。
もっとも、この本は普及書というより、啓発書という感じ。しかも、「ちきゅう」のアピールが前面にばんばん押し出している。多額の税金を投じて進めるプロジェク
トを、まだ結果が出ていないうちに本に出すのがいいのか悪いのかその賛否は分かれると思うけど、何も知らないうちによくわからないお金が使われるのよりはいいのかな。
お薦め度:★★ 対象:地球科学の方向性を知りたい人
【西村寿雄 20060210】
●「地球の内部で何が起こっているのか?」平朝彦・徐垣・末広潔・木下肇著、光文社新書
この本は、ウェゲナーの大陸移動説からプレートテクトニクス論、日本列島でのプレート沈み込み帯(付加帯)の研究など、地球科学の研究経過を解説した後、〈新しい地球観構築〉の必要性を説いている。そして、その上に立って日本が新しく建造した深海掘削船「ちきゅう」の概要と今後の研究課題を解説している。膨大な費用がかかっている大プロジェクトだけに、国民に説明する〈義務〉もあって書かれたのだろう。青少年に夢を与える内容でもあるし、地球科学を概観するにはよい本である。
お薦め度:★★★ 対象:地球科学に夢を持つ中高生以上
【早川友康 20060217】
●「地球の内部で何が起こっているのか?」平朝彦・徐垣・末広潔・木下肇著、光文社新書
さまざまな地球科学の事がわかりやすく紹介されている。過去の地球の気温の変動や海底に大量に埋まっているメタンハイドレートの話、海溝型地震の予知に関する話など興味深い。特に深海底をマントルまで掘りぬこうという壮大な計画の話はわくわくしてくる内容。
お薦め度:★★★★ 対象:広く一般
【六車恭子 20060218】
●「地球の内部で何が起こっているのか?」平朝彦・徐垣・末広潔・木下肇著、光文社新書
2005年7月完工の地球深部探査船「ちきゅう」誕生に至る、海底下7000mに人間の叡智で挑もうとする地球科学最先端の今とこれまでの歩みが解る本。
また生きている地球を理解するために、深海低の下で起こっている現象を精度よく観測しその試料をたんねんに分析することで地球システム科学を推し進める、そのリーダーを日本が担っていることを紹介する本でもあるようだ。未踏の地球深部への覗き窓から「世紀の大発見」を目論むこの分野から巨大地震や津波、火山噴火などの自然災害の減少に寄与できるだろうか?「地球の内部で何が起こっているにか?」は「いま『ちきゅう』で何が起こっているのか?」を知ることのようだ。
お薦め度:★★★ 対象:宇宙飛行士か地球深部探査船「ちきゅう」号乗組員をめざすかを迷っている高校生以上の方
【村山涼二 20060208】
●「地球の内部で何が起こっているのか?」平朝彦・徐垣・末広潔・木下肇著、光文社新書
深海掘削が地球の動きの理解に役割を果たしている。海洋底拡大説、プレートテクトニクス、堆積物の掘削による日本列島とプレートの沈み込み、堆積物中の有孔虫の酸素同位体の分析による氷期・間氷期のサイクル、米国東海岸の掘削による6500万年前の天体の衝突・生物の大量絶滅の証明などなど。更に地球システムの理解を深めるために、日本がより深い(マントルへの到達を目指し)掘削の出来る地球深部探査船「ちきゅう」を2005年7月に完成した。プレート境界巨大地震のメカニズム、地下生物圏と生命の起源、メタンハイドレートと地球環境など大きな研究課題がある。米国の宇宙研究に対し、日本が世界の研究者と共に地球研究のリーダーシップがとれるよう、若者に呼びかけ期待している。
お薦め度:★★★ 対象:中学高校生から広く一般に
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