友の会読書サークルBooks
本の紹介「地球の歴史」
「地球の歴史」(上中下)鎌田浩毅著、中公新書、2016年10月、(上)ISBN978-4-12-102398-8(中)ISBN978-4-12-102399-5(下)ISBN978-4-12-102400-8、(上)880円+税(中)840円+税(下)880円+税
【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]
【中条武司 20170421】
●「地球の歴史」鎌田浩毅著、中公新書
「水惑星の誕生」「生命の誕生」「人類の台頭」と3冊にわたって書かれる宇宙創成から現在までの地球の歴史。地球史における重要な事項を、新書形式で書き、万人に分かりやすい本となっている。しかし、網羅的に書いている分、著者の専門ではない部分(=火山以外)の信頼性に欠ける。私の記憶が新しい下巻だけを取り上げても
・付加体の地層からは恐竜は産出しない。さすがに著者はそのことはわかっていると思うけど、そうは読めない。
・第四紀の氷期について、現在は「ウルム・リス・・・」という名前は使わない(このことは2016年6月号のNature Studyに石井学芸員が書いている)。
・「海進・海退」と「海水準の上昇・下降」を混同している。
中巻の生物進化の部分もやや怪しかったなあ。あと内容とは関係ないけど、自著の宣伝がしつこい(他の人の普及書は本文中で紹介しないくせに)。さらりと読むには全3巻はちょっと長いんだし、もうちょっと丁寧に書いて欲しかったと思う一冊。
お薦め度:★★ 対象:地球の歴史を通読したい人
【西村寿雄 20161220】
●「地球の歴史」鎌田浩毅著、中公新書
『地球の歴史』全3巻は、「科学の伝道師」と名付けて幅広く啓発活動もされている鎌田氏の壮大な地球史である。(上)(中)(下)と3巻に分けて惑星地球の誕生から生命の誕生、人類の台頭と現代の環境問題にまで詳述されている。わかり易い文体と豊富な事例でなじみにくい《地球科学》の歴史が多彩に語られている。命をつないできた波瀾万丈の人類史を一般読者も手軽に読むことができる。最後に火山学者の著者は次に来る巨大火山の噴火を心配する。「長かった地球の歴史は想定外が絶えず起きた歴史と言っても過言ではない」と説く。今地球上に君臨する人類も奇跡の賜であることが浮かび上って来る。
お薦め度:★★★ 対象:すべての地球人
【萩野哲 20161216】
●「地球の歴史」鎌田浩毅著、中公新書
火山学、地球科学専門の著者が、“日本のガモフ”目指して書いた普及書。内容は、横の広がりとしては自分の専門に限らず、生物進化にも及んでおり、縦の広がりとしては宇宙の始まりから未来にまで及んでいる。地球という星が生物を育む、いかにユニークな星であるか再認識できる。もちろん、自分の専門に重点を置いているように思われるが、著者原図を含む多くの図が使われており、文章も平易なので、これ1冊(3冊?)で地球史に関するいろんな確認ができて便利である。
お薦め度:★★★ 対象:地球の歴史を周辺分野も含めて再認識したい人
[トップページ][本の紹介][会合の記録]