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本の紹介「チョッキリ」

「チョッキリ 草木を切って子育てをする虫」藤丸篤夫著、福音館書店たくさんのふしぎ2024年5月号、736円+税


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【西村寿雄 20240623】【公開用】
●「チョッキリ」藤丸篤夫著、福音館書店たくさんのふしぎ2024年5月号

 小さな甲虫類で日本でも60種もいると書かれているチョッキリ。その小さな虫が「たくさんの時間をかけて自分よりはるかに大きな葉を切ったり、噛んだり、折ったり、ねじったり、行ったり来たりを繰り返しながら幼虫のための巻物(揺籃)作り上げていく様子は、驚きでありふしぎであり、感動であり・・」と藤丸さんは作者の言葉として書いている。それぞれのチョッキリの仕業がこの本いっぱいに紹介されている。

 お薦め度:★★★  対象: 虫好き小学生から
【里井敬 20240626】
●「チョッキリ」藤丸篤夫著、福音館書店たくさんのふしぎ2024年5月号

 チョッキリという変わった名前の虫がいます。日本には60種以上いて、赤や青に輝く美しいものもいます。ゾウムシのような長い口を持ち、オトシブミのように葉を巻いて卵を産み付けます。どんぐりやモモの実に穴をあけて卵を産むこともあります。葉を巻いて産卵したら、その葉巻をチョッキリと切り落とすことからチョッキリと名前が付きました。ドングリも実に卵を産み付けたら枝ごとチョッキリと切り落とすことがあるそうです。オトシブミの卵が産み付けられた葉に托卵するチョッキリもいますが、両方とも育つそうです。寄生バチに乗っ取られたチョッキリは幼虫が食べられてしまうのを考えると、平和な托卵です。山道に葉巻がたくさん落ちていたり、拾ったドングリからウジ虫が湧いてきたりしたのはチョッキリの仕業やったんですね。

 お薦め度:★★★  対象: 山道で葉巻のように巻かれた葉の謎を知りたい人
【冨永則子 20240626】
●「チョッキリ」藤丸篤夫著、福音館書店たくさんのふしぎ2024年5月号

 葉っぱを巻いて卵を産む虫といえばオトシブミがよく知られている。オトシブミがメインで、チョッキリはオマケのような扱いの本が多いが、ここではチョッキリだけを取り上げ、その生態が紹介されている。葉っぱや実、茎などに卵を産み付け、最後に“チョキッ”と切り落とすところからチョッキリという名がついた。チョッキリの仲間は日本には60種類以上いて、葉っぱを巻くのは、その中の10種類ほど。オトシブミほどのきれいさは無いが、巻き方は縦巻きで、種によって様々。茎や実に穴を開けたり、きちんと塞いだり。1センチにも満たない小さな体で、じっくり時間をかけて卵を産み付け、切り落とす。
 ドングリに卵を産み付けるのはゾウムシだと思ってた。ハイイロチョッキリもドングリに産み付けるのね…。チョッキリ、ゾウムシ、オトシブミ…。習性や姿形が似ていても違う種なんだぁ。初めに違いに気づいた人は、よく見ていたんだなぁ…。

 お薦め度:★★★  対象: 小さい虫が気になる人に
【森住奈穂 20240628】
●「チョッキリ」藤丸篤夫著、福音館書店たくさんのふしぎ2024年5月号

 チョッキリ。卵を産みつけた葉や枝を、チョキっと切り落とすからチョッキリ。オトシブミのように葉っぱを巻き巻きするものもいれば、ドングリや果実に産卵するものもいる。1センチにも満たない小さな虫が、切ったり折ったりねじったりと、自分の何倍もの大きさの葉っぱを工作する様子が詳しく紹介されている。ハマチョッキリのように金属光沢を帯びた美しい種類もいるけれど、目立たない小さな母虫が、せっせと子どものための工作をする様子を昔の人はよく観察していて、チョッキリ、なんて愛らしい名前をつけたのかなぁ。

 お薦め度:★★★  対象: 工作好きなひと
【和田岳 20240627】
●「チョッキリ」藤丸篤夫著、福音館書店たくさんのふしぎ2024年5月号

 植物の葉や茎や果実に卵をうみつけ、その中身を食べて子どもが育つチョッキリ。メスはただ植物に卵を産み付けるだけでなく、葉をまいたり落としたりして、その中で育ち、土の中で蛹化する幼虫のために、いろいろな加工をする。それは近縁のオトシブミに似てるけどちょっと違う。そんなチョッキリの子育てを代表的な種で紹介。
 葉を巻くミヤマイクビチョッキリなど。巻いた葉を落とすこともあるマルムネチョッキリ。歯の根元を切って萎れさせるシリブトチョッキリ。枝つきの枝を落とすハイイロチョッキリ。さらには、他のオトシブミやチョッキリの揺籃に、自分の卵を産みこむ托卵をするオオメイクビチョッキリ、ヤドカリチョッキリというのまでいる。多様なパターンがあって楽しい。

 お薦め度:★★★  対象: オトシブミとチョッキリって違うの?と思ってた人
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