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本の紹介「銚子川」

「銚子川」NHKスペシャル取材班・内山りゅう・近藤玲介・平嶋健太郎・富川光・森哲也著、山と渓谷社、2019年7月、ISBN978-4-635-64003-9、1600円+税


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【中条武司 20220213】【公開用】
●「銚子川」NHKスペシャル取材班・内山りゅう・近藤玲介・平嶋健太郎・富川光・森哲也著、山と渓谷社

 奇跡の清流ってどこにあるんだと思ったら、三重県やん。しかもこのへん行ったことあるやん。
 わずか17kmの川だが、その透明度から普通は観察できない自然現象が見え、紀伊山地の自然が凝縮されている。塩水くさび(ゆらゆら帯)とそれを利用する生き物、川を上る魚たち、渓流に暮らすナガレヒキガエル、地下水に暮らすヨコエビやミミズハゼなど、見たい生きものや自然がいっぱい。この手の貴重な自然は場所を明かさないものだけど、遊べるポイントまで書いてある。手頃な場所だし、合宿とかで行ってみたいなあ。

 お薦め度:★★★  対象:自然観察が好きな人なら
【冨永則子 20220220】
●「銚子川」NHKスペシャル取材班・内山りゅう・近藤玲介・平嶋健太郎・富川光・森哲也著、山と渓谷社

 銚子川は、三重県南部の紀北町を流れる全長約17キロの二級河川。奈良県と三重県の県境に広がる大台ケ原を源流とし、深いV字谷を刻みながら熊野灘に流れ込む。なぜ銚子川は“奇跡”といわれるまでの清流なのか? 銚子川流域の基盤をなす花崗岩などの地質、中上流域のV字谷に分布する崖錐や沖積錐などの斜面地形、源流部の大台ケ原に分布する砂礫からなる平滑斜面の存在など「天然の濾過装置」としての地学的条件が揃ってはいるが、これらの多くは日本列島の中で特別に珍しいものでもないらしい。銚子川の中上流域周辺での人間活動の影響が少ないことや、河川周辺の人工的な改変が少ないことなど、清流が維持されるのに適した条件が幸運にも保たれていることが重要ではあるが、もしかすると銚子川は日本列島のありふれた中小規模河川の原風景なのかもしれない…という言葉にハッとさせられた。奇跡が奇跡であり続けられることを願って、この目で奇跡を見てみたい。

 お薦め度:★★★  対象:奇跡を信じていない人に
【萩野哲 20220131】
●「銚子川」NHKスペシャル取材班・内山りゅう・近藤玲介・平嶋健太郎・富川光・森哲也著、山と渓谷社

 裏表紙の宙に浮いたようなボートの写真は、銚子川の透明度の凄さを端的に示している。なぜこんなに透明なのか?流域の地質が花崗岩など水をろ過するものが多い、源流が多雨地の大台ケ原で、豊富な水が短距離を急傾斜で海に注ぐV字谷の地形をしているなどが特徴だろうか?いや、これらの特徴は日本では特別珍しいものではない。恐らく、銚子川は流域での人間活動の影響が少ないことが幸いして残った“日本列島のありふれた中・小規模河川の「原風景」”なのだろう。このように透明度が維持された川では多くの生物が生息していて、本書にも代表的な種の美しい写真が掲載されている。更に、河口の若アユの群れが上げ潮の先端部で藻類を食む様子のような、透明でなければ見えない動物の生態が観察できることも記されている。ここまで読んで、銚子川に行ってみたくなった人には、流域に沿って遊べる場所が紹介されているのが、本書の親切なところである。

 お薦め度:★★★  対象:銚子川に行ってみたい人
【和田岳 20220224】
●「銚子川」NHKスペシャル取材班・内山りゅう・近藤玲介・平嶋健太郎・富川光・森哲也著、山と渓谷社

 NHKスペシャルの書籍化。源流から河口まで、水の透明度がとにかく高くて、“見えないものが見える川”が紹介される。写真がとにかくキレイ。
 第1章で、河口の塩水くさびと淡水との境界“ゆらゆら帯”、海と川を行き来する通し回遊魚の紹介。第2章は、銚子川の透明度が高い理由を地質から解説した後、ナガレヒキガエルと、伏流水に生息する珍しいヨコエビとミミズハゼの紹介。第3章に利用の手引きと、生き物図鑑。
 これを読めば一度行ってみたくなる。

 お薦め度:★★★  対象:河口まで透明度の高い川の画像が見たい人
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