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本の紹介「ダーウィンの『種の起源』」
「ダーウィンの『種の起源』」ジャネット・ブラウン著、ポプラ社、2007年9月、ISBN978-4-591-09913-1、1500円+税
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【和田岳 20080424】【公開用】
●「ダーウィンの『種の起源』」ジャネット・ブラウン著、ポプラ社
自然選択に基づく進化というアイデアを最初に世に出した『種の起源』という本がどのように書かれたのか、出版後どのような論争が巻き起こったのか。ダーウィンの一生を追いながら、科学におけるこの大きな事件を、要領よく紹介してくれる。
ダーウィンや『種の起源』については、今までもいろんな本が出版されているが、これほど簡潔に要領よくまとめてある本は、ほかにはないんじゃないかと思う。当時のイギリスや欧米の社会情勢をふまえての説明はとてもわかりやすい。
中立的立場を保とうとする著者のスタンスも好感が持てる。ダーウィン入門にはお薦めの一冊。
お薦め度:★★★ 対象:ダーウィンや進化理論の歴史的背景に興味のある人、さらには今までにダーウィン関連の本をなんだかなぁと思ったことのある人
【西村寿雄 20080423】
●「ダーウィンの『種の起源』」ジャネット・ブラウン著、ポプラ社
ダーウィンの『種の起源』にまつわるさまざまな〈問題〉をくわしく取り上げた本である。『種の起源』をはじめとするダーウィンの論文は,自然科学史上の偉業として世間に流布している。しかし,ことの本質はそう簡単ではない。まずもって,地球上のすべての生き物は〈生命の大樹〉から徐々に分化していったという進化論は,神の創造論と根本的に対立してきた。また,進化の過程に見る〈自然淘汰説〉は,さまざまな便宜的な価値観に利用されてきた。
そのことが現代にも尾を引く。自然科学としての〈進化論〉が,格差の増大や思想の対立が渦巻く現代社会においてなお一層混迷の度を深めている。〈進化論〉が人類の中に何を提起してきたのか,提起しているのかが読み取れる。
お薦め度:★★★★ 対象:進化論に興味のある大人
【六車恭子 20080627】
●「ダーウィンの『種の起源』」ジャネット・ブラウン著、ポプラ社
未だにこの著書を超える本はないと言われているダーウィンの「種の起原」誕生の背景、ヴィクトリア調時代の科学界の動向、同時代に与えた進化論の影響やダーウィン以後の進化理論の行方をたどれる優れた手引き書だ。20代の青年が英国海軍の調査船「ピーグル号」に乗って世界周航の旅にでる、この5年間の原体験が彼の理論の骨子をなす。見る行為が後に思念をくぐり抜け結晶して行く、書く行為へ続く収穫期だろうか。世界の隅々に文通で結ばれた友があり、彼のもとに届けられる多数の研究の報告がある。彼はそのどれも仔細に眺め、吟味し、日常の出来事もおろそかにしない。一つ一つの織り糸を考察の坩堝で撹拌している職人のようだ。
お薦め度:★★★ 対象:進化論の流れを概括したい人に
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