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本の紹介「どんぐりの穴のひみつ」
「どんぐりの穴のひみつ」高柳芳恵文・つだかつみ絵、偕成社、2006年9月、ISBN4-03-634730-6、1200円+税
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【長井裕司 20070219】【公開用】
●「どんぐりの穴のひみつ」高柳芳恵文・つだかつみ絵、偕成社
これはどんぐりでは無く、どんぐりに穴を開けた虫達のお話である。著者は普通(?)の主婦なのだが、鋭い洞察力と粘り強い観察でどんぐりの穴の謎を解いて行く。正直やられたという感じだ。私もシギゾウムシの幼虫という所までは調べたことはある。しかしそこまでである。著者は一歩進んで「ファーブル昆虫記」にも載っていない産卵方法を発見する。本当に自然の不思議さを感じるとは、こういうことを言うのだろう。
お薦め度:★★★★ 対象:どんぐりは好きだが虫は嫌いという人にぜひ
【加納康嗣 20061113】
●「どんぐりの穴のひみつ」高柳芳恵文・つだかつみ絵、偕成社
子ども向きの本になっているが、これははっきり言って大人の本。ドングリに穴をあけ白いプリッとした美味そうなウジ虫がでてくることはドングリと遊んだものなら経験がある。しかし虫好きでもシギゾウムシだろうなと考えて見るが、関心はそこまで。ところが著者は普通ではない。なんでやろ?おかしいやんか?不思議や?のクレッションばかりが内蔵になって詰まっている人物。なんと、9年間かけて13種類の穴を調べ上げ、16種類もの虫たちが出てくることを突き止めた。途中どの穴がどいつのや!どれがどれやねん!と頭の悪い私は混乱してしまう始末。普通の主婦と書いてあるがなかなかどうして尋常でない。調べると前歴があった。同じシリーズの?「葉の裏で冬を生きぬくチョウ」という著書があった。探求心は止まりを知らない。最後には穴あきドングリで笛を吹いて楽しんでしまう。お見事!
お薦め度:★★★★ 対象:好奇心の強い虫好きの方(大人)
【西村寿雄 20061207】
●「どんぐりの穴のひみつ」高柳芳恵文・つだかつみ絵、偕成社
著者の高柳さんは『葉の裏で冬を生きぬくチョウ』などを書いていた主婦研究者。ある日、高柳さんがどんぐりコマを回していると、ドングリの中からひょっこりと顔を出した幼虫がいた。ある晩どんぐりを袋に入れて家に置いていると、「カリカリ」と奇妙な音。小さな幼虫が堅いどんぐりをけんめいに削っている音だ。「堅い皮のあるどんぐりにいったいどのようにして幼虫たちが潜り込んだのだろうか」、高柳さんのどんぐり虫研究が続く。子どもたちには〈どんぐり虫研究〉のヒントに。
お薦め度:★★★ 対象:小学校中学年から
【六車恭子 20070222】
●「どんぐりの穴のひみつ」高柳芳恵文・つだかつみ絵、偕成社
「どんぐりひろい」をしなかった人はほとんどいない。工作遊びか食べることで満足するか、昆虫採集を経験するか、あの幼虫のくねくねダンスに恐れをなして放棄するか。あの日人はどれかを選んでしまう。この本の著者は終わりのない探求心という切符を選んでしまったようだ。よく見ること、長くつきあうことは次々に新しい謎へと扉は開かれる。9年にわたる粘り強い研究の成果や着眼点の創意に感心することしきり。一主婦がものしたどんぐり研究の報告書、ファーブルだってあの世で拍手喝采しているだろう。
お薦め度:★★★★ 対象:近所にどんぐりの木がある人
【和田岳 20070220】
●「どんぐりの穴のひみつ」高柳芳恵文・つだかつみ絵、偕成社
著者は、ドングリを拾ってきて、入れ物に入れて観察する。どんな虫が出てくるか観察する。シギゾウムシの仲間やハイイロチョッキリといった甲虫が出てくる。ときには3年後にようやく出てきたりもする。小さいハチやガも出てくる。ドングリにはいろんな穴が開いてるけど、こうしたいろんな虫たちが、それぞれに色んな穴を開けるんだとわかる。ドングリという身近な材料を入れ物に入れて観察するだけで、これだけ色んな虫たちの世界が展開するかと思うとビックリ。今度やってみよっと。
お薦め度:★★★ 対象:ドングリや虫が好きな人、あるいは自由研究のテーマを探している人
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