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本の紹介「ドングリの謎」
「ドングリの謎 拾って、食べて、考えた」盛口満著、どうぶつ社、2002年10月、4-88622-315-X、1500円+税
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【魚住敏治 20031022】【公開用】
●「ドングリの謎」盛口満著、どうぶつ社
ゲッチョ先生と一緒にドングリを楽しんでみませんか。
子供のころからドングリをみつけ、ふと頭にうかび、そのまま忘れてしまっていた疑問。例えば、「これって実、それとも種子?」「食べることが出来るの?」「どこから虫が入ったの?」「豊作と不作の年があるのはなぜ?」などなど。その他色々な事に、クラスの実習風景に、先生の推測を交えて答えていきます。その過程でドングリたちの生きていくための色々な戦略を垣間見ることが出来ます。
あらためて自然観察は五感をとおしてするものだと思わせてくれる本です。
お薦め度:★★ 対象:ドングリが食べれると聞いて「へぇ〜」と思った方
【宮本久美子 20031010】【公開用】
●「ドングリの謎」盛口満著、どうぶつ社
そもそもドングリってなんだろう?そんな素朴な疑問から始まったドングリにまつわる話題を集めた本。ドングリを食べるという人とドングリとの基本となる係わりから、ドングリを捕食する動物と関係、さらに、ドングリ側の捕食者への対策まで、盛口満が自分の体験や探し当てた資料から、ドングリの持つ様々側面について推理をしてみせる。
断片を集めるのを好む著者だけにそれぞれの話題の点と線がつながるまでもどかしい面もあるが、生物をいろいろな見方をするイントロダクションの本とすれば
面白いのでは?
お薦め度:★★ 対象:ドングリと動物や人との係わりに関心がある人
【加賀まゆみ 20020619】
●「ドングリの謎」盛口満著、どうぶつ社
「死体拾いマニア」の、ご存じゲッチョ先生は、相変わらず身体を張って自然観察し続けています。今回は、「幼少期から拾い続け、自分の人生を変えた」とまで言い切る「ドングリ」のこだわり考察。心のふるさと「マテバシイの森」から、ボルネオの世界最大級のドングリまで、個性的な目のつけどころで取り上げ、理科教師として現代の子どもたちの自然体験提供を試行錯誤しつつ、縄文人の生活や「どんぐりの気持ち」へと想像を広げます。その縦軸にあるのは、「どうしたらドングリをおいしく食べられるか」という「生きもの・人間」の根元的好奇心。「自然に学ぶ」というのはこういうなのか、と、素直に納得させられます。
おそらく拾ったドングリの量にかけてはギネスレベルのゲッチョ先生。是非、世界中のドングリを拾い続け、ドングリを通して「生きもの・人間」を考え続けて欲しいですね。藤井伸二さんや岡本素治さんの著作がところどころ引用されているのを探すのも楽しみの一つの、超おすすめの一冊。
お薦め度:★★ 対象:連想するのが好きな人
【金井一史 20031010】
●「ドングリの謎」盛口満著、どうぶつ社
ドングリを食べたことがありますか? 食べ方次第ではなかなかに美味しいのだと か。そう、この本は、美味しいドングリの食べ方マニュアル……ではありません。あえて言うならドングリ雑考と言うところでしょう。
内容は東南アジアの自然に始まり、様々な土地のドングリ、果ては歴史の中でのドングリの食べられ方に及びます。全編を通して様々な経験や知識が相互に関連して新しい事実に気づいていくと言う姿勢が貫かれていてさくさくと読み進めることができます。しかし、一件無関係なテーマに突然移ったりと、アスレチック的な書き方をされている為、そのようなものが嫌いな方はご用心ください。ただ、それも全体としてみればしっかりと意味はあるのですが……。
お薦め度:★★★ 対象:好奇心旺盛な人
【瀧端真理子 20030928】
●「ドングリの謎」盛口満著、どうぶつ社
ボルネオでの世界最大級のドングリ拾い、ドングリに卵を産むハイイロチョッキリとコナラシギゾウムシ、ドングリ調理法、豊作年と不作年、種子散布、民俗、と、話題はどんどん移り変わっていく。教員として生徒たちにドングリを食べさせる工夫をつづけた筆者は、東北の山里に住む老人のある言葉に遭遇する。その言葉に出会った筆者は、飯能市の学校を退職して、沖縄へ移住する。その心の軌跡を、ドングリというテーマに託した、自分探しの本。
お薦め度:★ 対象:盛口さんの思考パターンに合う人
【田中久美子 20031024】
●「ドングリの謎」盛口満著、どうぶつ社
ゲッチョさんのドングリ好きがこうじて書いた本。下半分イラストのこのスタイルが私は好きだ。
子供の頃のあこがれのボルネオの巨大ドングリに始まって、ボルネオ滞在記。子供の頃からダンボール一杯拾ってたというマテバシイをはじめとする、ドングリのなる木−ブナ科植物についてあれやこれや。なる程、ドングリってこういうものか。拾って食べて考えて、けっこう楽しめるものなのだな。ブナ科植物の見分け方もなんとなくわかってきて、今度実物をじっくり見てみようっと。
お薦め度:★★★★ 対象:今回はより植物寄りの本です
【寺島久雄 20031018】
●「ドングリの謎」盛口満著、どうぶつ社
生徒達とドングリを拾い、食べて、調査し、観察し、体験して、自然との関わりが見えてきた記述である。
ドングリが実か種子か、動物達との食物連鎖の関係、そして縄文時代以来の昔の人々がドングリに対し、命がけの対処した関係に思い至った著者が、次に沖縄へ移住して、自然との関わりを今一度考え実行する結果となる物語と言ってよいのではないか。
「僕らが死体を拾うわけ」と共に自然の不思議に感動する本であると思います。
お薦め度:★★★★ 対象:自然を深く知り、学びたい人に
【六車恭子 20031023】
●「ドングリの謎」盛口満著、どうぶつ社
人は何らかのコレクターである。著者は子どもの頃からドングリ拾い。それは何故かマテバシイのドングリばかりだった。「何かを拾い、その断片をしまい込み、そしてまた拾いものを探す。断片がある量まで溜まると急に物事がつながりだして来ることがある。」彼は焦らずじっくり思念が満ちて来ることを待っている。
”いつ、どこで、どんなものが食べられるかを知る”身近な自然での訓練が遠い自然への架け橋となる。ボルネオで拾った大きなドングリから、寄生者のシギゾウムシの個体数を押さえるために豊作不作があることや、著者の推理は様々な文献や自らの体験から一つ結論に導かれていく。ブータンの「巨大ドングリ」に出会いたいという見はてぬ夢が再び著者に取りついているようだ。
お薦め度:★★ 対象:身近に転がっている自然界の謎に挑みたい人
【和田岳 20031024】
●「ドングリの謎」盛口満著、どうぶつ社
タイトル通り、ドングリについての色々な話題が詰め込まれた本。パート1はマレーシアでの世界最大のドングリとの出会い、パート2では自由の森学園での授業風景(おもにドングリを食べる話)、パート3では沖縄へ移り住む。背景では、いわば著者の人生の歩みが描かれている。
マレーシアの世界最大のドングリとの出会いからはじまって、ドングリの定義(シイはドングリ?)、ドングリは果実か種子か、ドングリからでてくるゾウムシの話、ドングリの食べ方、豊凶の問題、種子散布などなど。ドングリ一つでよくもまあこれだけというぐらい話題は豊富。ドングリの入門書として使えそう。一度ドングリを食べてみたくなった。
お薦め度:★★★ 対象:ドングリに興味のある人、とくに食べてみたい人
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