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本の紹介「動的平衡」
「動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか」福岡伸一著、木楽舎、2009年2月、ISBN978-4-86324-012-4、1524円+税
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【太田行二 20090912】
●「動的平衡」福岡伸一著、木楽舎
食べ物に含まれた分子が、瞬く間に身体の構成物質になる。と同時に、次の瞬間には、それは身体の外に抜け出して行く。我々は、こうした物質の入れ替わりのことを「新陳代謝」と言う。そして、新陳代謝をしなければ、細胞の寿命は案外短い。数時間か数日で老いて死を迎えるだろう。幸いにも、人間は、新陳代謝をするから、日本に100歳以上の人が4万人もいる。言い換えたら、生命活動は、アミノ酸の不断の並び替えであると言える。それは、合成と分解の「動的な平衡状態」こそが生きているということであるとも言え、生命とは、動的平衡のバランスの上に成り立っている「効果」とも言える。更に、例えて言えば、生命とは、大きな川の流れの中にある、周囲より密度が高くて、渦を巻いていたりする、「淀み」そのものなのだそうだ。また、食物とは、情報そのものなのだそうだ。我々は、常に新鮮な情報を取り入れ、古い情報と入れ替え続けなければ、「生きている」というバランス状態が保てないそうだ。我々は、情報に関しても、新陳代謝をする為に、常に学び続けなければならないらしい。
お薦め度:★★★ 対象:バランス良くなりたい人
【萩野哲 20090824】
●「動的平衡」福岡伸一著、木楽舎
著者は「動的平衡」(絶え間ない破壊と絶え間ない再生)を生命、自然、環境の全ての現象の核心を解くキーワードと位置付けている。本書はこのキーワードを意識して「ソトコト」誌に連載された記事をまとめたものである。遺伝子操作技術による医薬品や除草剤耐性作物の創出、脳を活性化する特定の食品(添加物)の摂取、等々が世の中で進んでいる。しかし、「青い薔薇」のお話が端的に物語っているように、これらは生命現象のミクロなパーツの人工的な改変である。一部の改変が起こると、生命は本質的に全体としてのバランスを保とうとその改変を補い、決して人の期待通りには進まない、と著者は問いかける。
お薦め度:★★★ 対象:生命現象とは何かを深く考えたい人
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