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本の紹介「エビはすごい カニもすごい」
「エビはすごい カニもすごい 体のしくみ、行動から食文化まで」矢野勲著、中公新書、2021 年12 月、ISBN978-4-12-102677-4、900円+税
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【萩野哲 20220426】【公開用有】
●「エビはすごい カニもすごい」矢野勲著、中公新書
まずはもう、昔習った頃と分類が全く違う。あとは個人的に何を面白いと感じるかで異なるだろうが、 テッポウエビがハサミでプラズマを発生させるとはすごい(ウルトラマンの世界か?)。更にその音がサンゴの幼生を呼び寄せるとは驚き。何度も登場するキチン分解細菌はエビやカニにとって脅威。メラニンが修復に関与しているとはね。モクズガニのせっかんや腹いせはどうだろうか?著者の予測通りだと興味深いが、結構想像豊かのようにも思えた。今やブラックタイガーを凌ぐ勢いのバナメイの産卵行動を最初に見たのは著者だったんだ。
お薦め度:★★★ 対象:エビ・カニについていろいろ知りたい人
知りたい人
【森住奈穂 20220505】
●「エビはすごい カニもすごい」矢野勲著、中公新書
エビやカニが生き物として「すごい」ことを紹介する本書。複眼、胃、腸なども脱皮し、失った脚も2〜3回脱皮すれば元通り。便利〜。脱皮の際には体重の半分ほどの水を飲んで体を膨張させ、古い外骨格が裂ける!デビルマン〜。キンチャクガニやテッポウエビについても頁が割かれている。キンチャクガニが持つイソギンチャクは、十分な餌を与えられずに小さいままでいる、まるで盆栽。カニに挟まれているイソギンチャクは、1つの個体が別のカニに奪われて引き裂かれ、代々利用され続けているクローンイソギンチャクらしい。テッポウエビの発するスナップ音は、ハサミを合わせた音でなく、その際に生じる泡が崩壊して発生する音で、プラズマ衝撃波が閃光を伴って放射されているらしい。ちょっと浴びてみたい。
お薦め度:★★★ 対象:美味しいだけじゃない、エビ・カニのすごさを知りたいひと 知りたい人
【和田岳 20220506】
●「エビはすごい カニもすごい」矢野勲著、中公新書
水産学畑で50年以上にわたってエビ・カニを研究してきた著者が、エビとカニのあれこれを書きまくった一冊。
第1章と第2章はイントロで、分類、体の構造、脱皮、五感と生殖が紹介される。脱皮の度に、平衡胞に自分で砂粒を入れるというのが面白い。第3章と第4章はエビとカニの面白生態を紹介。渡りをするエビ、テッポウエビの衝撃波、両ハサミでイソギンチャクをつかんでるキンチャクガニ。第5章〜第8章は、著者自身の成果や経験が語られる。興味が専門的で、門外漢には面白さが伝わりにくい。最後の章は、エビ・カニのアレルギーの話と、食文化の話。
美味しいエビ・カニの選び方とか、栄養価とか。いろいろ蘊蓄がありつつ、専門的話題も混じり、楽しかったり、眠かったり。著者は、エビ・カニがかなり賢いと信じてるらしいのは、面白かった。
お薦め度:★★ 対象:エビとカニについて何でも知りたい人 知りたい人
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