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本の紹介「フィールドの寄生虫学」
「フィールドの寄生虫学 水族寄生虫学の最前線」長沢和也編著、東海大学出版会、2004年1月、ISBN978-4-486-01636-6、2800円+税
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【中条武司 20100903】【公開用】
●「フィールドの寄生虫学」長沢和也編著、東海大学出版会
寄生虫といえばサナダムシや回虫というイメージだが、この本に出てくる寄生虫は水生生物に特化した寄生虫ばかり。エビ・カニ、貝、魚、クジラやトド、はてはオオサンショウウオや海藻に寄生するものまで様々。寄生虫なんて変わったものを研究するきっかけや研究プロセスなどを解説してくれているので、世の多くの人の「なんでそんなものを研究対象に」という疑問には少しは答える形になっている。
個別のテーマはさておき、一言でいうなら研究者の寄生虫への溢れる愛を語った本といっても過言ではない。愛があるとグロテスクな寄生虫でもいとおしく思えるのね。
お薦め度:★★★ 対象:研究というものを志したい人
【和田岳 20100423】
●「フィールドの寄生虫学」長沢和也編著、東海大学出版会
底生生物、プランクトン、海藻、魚類、両生類、海生哺乳類につく、さまざまな寄生虫を紹介した本。寄生虫研究者23名が、それぞれの研究内容を中心に紹介している。単に研究成果を紹介するではなく、各人が寄生虫研究を始めたきっかけを始め、未解明の部分とそれについての自分の考えまで、通常の論文には書かれない部分も盛り込まれている。グラフや表はできるだけ排して数字ではなく言葉で、できるだけ簡単に寄生虫を解説してくれている感じ。寄生虫研究の面白さとこれからの可能性をアピールしているところから、寄生虫研究者を増やすべく、とくに大学生をターゲットにしてるんだろうなと思わせる。そんな思惑はともかく、数字が苦手な人にも取っ付きやすく、寄生虫の多様な世界をかいま見せてくれる一冊。
お薦め度:★★★ 対象:目黒寄生虫館に興味のある人、あるいは生物の多様性に興味のある人
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