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本の紹介「富士山噴火」
「富士山噴火 ハザードマップで読み解く「Xデー」」鎌田浩毅著、講談社ブルーバックス、2007年11月、ISBN978-4-06-257576-8、940円+税
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【村山涼二 20080221】【公開用】
●「富士山噴火」鎌田浩毅著、講談社ブルーバックス
宝永噴火から300年富士山は噴火していない。富士山の3200年間の噴火の歴史をもとにハザードマップが作られている。噴火による被害として、火山灰、溶岩流、噴石と火山弾、火砕流、岩なだれ、泥流によるそれぞれの被害の写真を示し、噴火の大・中・小のそれぞれの規模・条件に対するハザードマップが示されている。300年の沈黙が更に続くことは噴出するマグマを貯めていることになり大噴火が予測される。南海・東南海・東海地震との連動噴火も危惧されている。起こった場合の政治経済への大打撃に対する危機管理が必要とされる。噴火に限らず、地震、津波、水害などに対し多くのハザードマップが公表されている。ハザードマップを理解して、災害を予測、防災・減災に生かすための一つのガイドブックとなろう。
お薦め度:★★★ 対象:防災減災に関心のある人
【中条武司 20080219】
●「富士山噴火」鎌田浩毅著、講談社ブルーバックス
日本一有名な山、富士山。この300年噴火していない活火山が噴火した時のことを、私たちはどれだけ考えているのだろうか。2004年にようやく完成した富士山のハザードマップを、やさしく解説するのが本書の目的である。
ただハザードマップを解説するだけでなく、同様の被害がすでに起こっている火山の例を具体的にあげながら、この首都圏に近い大火山の脅威を説いている。結局噴火したらどうしたらいいの?という部分への突っ込み不足の感は免れないが、それでも多くの人が想定していないであろう火山灰や岩なだれ、泥流などの大規模被害についても詳しく言及している。全編通じて、火山国家日本に住むからには、ぜひ知っておきたい火山の恐ろしい一面を、わかりやすく解説している。
お薦め度:★★★ 対象:火山周辺=日本に住む中学生以上
【西村寿雄 20080220】
●「富士山噴火」鎌田浩毅著、講談社ブルーバックス
ここ数年、著者の鎌田さんは『火山噴火』(岩波新書)など数冊の火山の本を出している。雲仙普賢岳の災害を教訓に火山学者の責務として国民への啓発に意欲を燃やしておられる証しでもある。とりわけ、日本のシンボルとして最も国民に親しまれている富士山が、火山学者の中ではかなりの警戒態勢に入っていることを国民に知らせなければという願いが強いのだろう。ここに『富士山噴火』というセンセーショナルな題名で改めて出版された。この本では、富士山を舞台に、火山にまつわるさまざまな話を分かりやすく解説している。国民の常識として広く知っているといい本である。
お薦め度:★★★★ 対象:国民のみなさん
【萩野哲 20080222】
●「富士山噴火」鎌田浩毅著、講談社ブルーバックス
富士山ハザードマップをわかりやすく解説した本であるが、それに限定されず、火山灰、溶岩流、火砕流等の火山の諸現象をも豊富な図を交えて詳しく平易に解説しているので、火山全般の入門書としても優れた書籍となっている。
お薦め度:★★★★ 対象:富士山が噴火したら被害を受ける全ての人
【六車恭子 20080222】
●「富士山噴火」鎌田浩毅著、講談社ブルーバックス
宝永の大噴火から300年、富士山から長い眠りの終わりを告げる信号が届いた。2000年10月、富士山の地下で地震があったのだ。この低周波地震は政府を震駭させ、来るべきXデーにむけて「富士山噴火」のハザードマップが2004年に公表された。富士山噴火や直下型地震はまさに国家的危機に値する出来事であり、この本はその解説書という体裁だ。
長い火山列島の中央部に屹然とそびえ立つ美しいその姿は日本国の象徴であり、108もの活火山を持つ我が国にとって、富士山噴火は文字どうり学びのケースとなるようだ。噴火後数時間で首都圏を襲う火山灰から注意を喚起し、溶岩流、噴石と火山弾、火砕流と火災サージ、岩なだれとブラストそして泥流と起るべき危機的状況を体験させてくれるのだ。噴火は一瞬、その後に長〜く恵みをもたらす富士山が賞味期限付きの仮の姿というのも心打たれる発見でした。
お薦め度:★★★★ 対象:我が国の人々すべてに
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