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本の紹介「ふんコロ昆虫記」

「ふんコロ昆虫記 食糞性コガネムシを探そう」塚本珪一・稲垣政志・河原正和・森正人著、トンボ出版、2009年7月、ISBN978-4-88716-168-9、2000円+税


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【和田岳 20091021】【公開用】
●「ふんコロ昆虫記」塚本珪一・稲垣政志・河原正和・森正人著、トンボ出版

 関西のアマチュアのフン虫研究家の手によるフン虫の普及書。フン虫のくらしや形・色、分類学的位置、分布から、フン虫の採集方法、標本の作り方、飼育・撮影のノウハウまで、フン虫のすべて(?)が紹介される。同時に、フン虫マニアの特異なメンタリティと生態も披露される。それが堪能できるのは、コラムのはずなのに第2章の中核をなす採集記。そんなにフン虫を採りたいのかー、と思わせてくれる。当たり前のようにマイトラップ(意味がわからない人は103ページを参照のこと)と書いてあるが、一般人はかなり引くはず。とにかくフン虫への愛があふれかえっていると同時に、マニアの特殊な世界を見せつけてくれる。フンに引かなければ楽しい一冊。

 お薦め度:★★★  対象:動物好き、あるいはマニア好き

【萩野哲 20091022】
●「ふんコロ昆虫記」塚本珪一・稲垣政志・河原正和・森正人著、トンボ出版

 いわゆる食糞性のコガネムシには、特異な形態と美しい色彩やツヤを持つ種が多く、その食物からは想像が付き難い。本書は、これらの日本産全種についてのガイドであり、各々の種がどのような場所に生息するのか、どのような生態を送っているのか、どのような方法で採集できるのか、著者たちの経験をまじえながら非常に具体的に記述されている。かつては全国どこにでもいた種が牧畜形態の変化により衰退して行ったり、生態がわからなかった種があるきっかけで大量に発見されたり、大変興味深いお話し満載で、楽しく読めるとともに、図鑑としても利用できるすぐれ本である。

 お薦め度:★★★★  対象:昆虫好きな全ての人

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