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本の紹介「がろあむし」
「がろあむし」舘野鴻著、偕成社、2020年9月、ISBN978-4-03-437080-3、2000+税
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【冨永則子 20201217】【公開用】
●「がろあむし」舘野鴻著、偕成社
ガロアムシって知ってますか? 大小の礫が積み重なったガレ場や暗く湿った洞窟に棲む、体長2センチほどの小さな生き物。暗く狭い場所に生息するので羽はなく、目も殆どない。2ミリぐらいのゴマ粒ほどの卵から一年かかって孵化し、8回の脱皮を繰り返して成虫になり、寿命は5〜8年くらいと考えられている。私たちが暮らす足元の地面の中にも沢山の小さな生き物の命がある。初めの見開きの景色がガロアムシの8年の生涯のうちに大きく変わる。そこでは目に見えるものだけではなく、目には見えないものも変わってしまう。共に生きるものとして、見えないものを見ようとすることの大切さに気づかせてくれる。
お薦め度:★★★ 対象:地面の下の小さな生き物に興味のある人に
【和田岳 20210221】
●「がろあむし」舘野鴻著、偕成社
神奈川県をモデルにした架空の場所を舞台に、地面の下で暮らすガロアムシというマイナーな昆虫の一生を通じて、ふだん気にすることもない地面の下の豊かでドラマに満ちた世界が描かれる。
舞台となる川沿いの崖下を、遠景からアップしていき物語は始まる。ガロアムシが卵から孵り、ヒメミミズ、コムカデ、ハサミコムシなどを食べて大きくなって成虫に。アリやムカデに襲われたりしつつも生き抜いて、交尾して産卵。しかし、クモに喰われるまでの8年間に及ぶメスのガロアムシの一生。最後は再びアップから近景、遠景と引いていく。8年間の間に、河川の周りの環境は随分かわった。
うっかりしてると見逃しそうな、短い文章だけで、物語は進んでいく。絵を見てるだけでも充分ストーリーは判る。最後の3ページの解説になっていて、ガロアムシの詳細と、その他の登場虫たちの名前が分かる。
お薦め度:★★★ 対象:地面の下の生き物に興味のある人
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