友の会読書サークルBooks

本の紹介「GoogleEarthで行く火星旅行」

「GoogleEarthで行く火星旅行」後藤和久・小松吾郎著、岩波科学ライブラリー、2012年8月、ISBN978-4-00-029596-3、1500円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。

[トップページ][本の紹介][会合の記録]


【萩野哲 20130214】【公開用】
●「GoogleEarthで行く火星旅行」後藤和久・小松吾郎著、岩波科学ライブラリー

 Google Earthが世に出た時の興奮を覚えているのは私だけではないだろう。何と自分の小さな家も確認できるのだ!その後のGoogle Earthの進歩はものすごく、町内のわき道を横から見れたり、海底、更には月、そして火星まで・・・。本書は今から50年後、火星好きの高校生の5日間の旅行という想定で、最新情報に基づいた火星の地形を紹介している。なにしろ25cm四方が1ピクセルという解像度らしい。この本でも、赤青メガネでマリネリス渓谷などの地形が立体視できるよう工夫されているのがすばらしい。せっかく火星旅行に没入するなら、ある程度火星の地理を覚えておくのがよいだろう。一方で、満員の通勤電車での読書向きではない。Google EarthならぬGoogle Marsの物語でした。

 お薦め度:★★★  対象:火星に行ってみたい人も行ったつもりになるだけでよい人も

【中条武司 20130221】
●「GoogleEarthで行く火星旅行」後藤和久・小松吾郎著、岩波科学ライブラリー

 50年後、がんばってお金を貯めれば火星旅行に行けるらしい。火星にはもちろんホテルもあって、航空機やローバーを使って各所に観光旅行。ただし往復に一年、滞在5日間というほとんどが移動に費やす旅行にはなるみたいだけど。
 という設定で、Google Earthを使って旅行気分で火星の地形を見て回ろうという本書。著者の一人が以前に書いた「GoogleEarthでみる地球の歴史」よりもわかっていない分が多いので、逆にストーリーとして読みやすく感じた。特に渓谷や洪水の跡、三角州など火星形成初期にしかなかったはずの水による地形が多く残り、それに対する理解がここまで進んでいるのにちょっと感動。何より火星の画像が今や25cm1ピクセルで、しかも私たち一般人が見れるって、その技術進歩にただただ驚き。

 お薦め度:★★★  対象:地球や宇宙に興味のある人

【西村寿雄 20130219】
●「GoogleEarthで行く火星旅行」後藤和久・小松吾郎著、岩波科学ライブラリー

 「2009年に毛利衛さんの書いた『モマの火星探検記』が出た。この本は2055年、15才から18才までの若者30人が火星に旅立つわくわくどきどきの物語である。それから3年後に出たこの本では火星の表面各所を実像として見ることができる。おまけに立体視までできる。巨大なクレーターや大地の割れ目が大迫力で目に飛び込んでくる。この本は2065年に火星に旅立つ想定で、実体験風に話が進んでいく。しかし、対話形式がいまひとつ読みにくい。むしろ、随所にあるコラムの方がわかりやすく楽しく読める。火星に生命が存在しているのか、液体の水は存在するのか、興味ある課題である。今すぐ火星表面を体験したい人には、地球上の〈火星類似環境〉の紹介もある。まずはここで将来の火星探検に備えてみてはいかが。

 お薦め度:★★★  対象:惑星宇宙や火星に関心のある人

[トップページ][本の紹介][会合の記録]