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本の紹介「ハチという虫」

「ハチという虫」藤丸篤夫著、福音館書店たくさんのふしぎ2021年6月号、700円+税


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【萩野哲 20210912】【公開用】
●「ハチという虫」藤丸篤夫著、福音館書店たくさんのふしぎ2021年6月号

 ハチ類について、それらの進化した順に、分かりやすく解説している。解説を助ける写真がすばらしい。特に寄生バチたちの写真は産卵の瞬間などをとらえていて凄味がある。ただ、狩りバチが出現した段階で現れたアリ類について全く触れていないのは残念。セイボウにも触れていない。それと、各ページに空白の部分が目立つように思う。もう少しレイアウトを考えれば、更に写真を大きくできたか情報量を増やせたのでは? どうしても博物館の特別展「のぞいてみようハチの世界」の解説書と比較してしまう。

 お薦め度:★★  対象:ハチについて興味が出てきた人
【柴田可奈子 20211013】
●「ハチという虫」藤丸篤夫著、福音館書店たくさんのふしぎ2021年6月号

 ハチが怖くなった。寄生するハチのことは知っていたが、怖くなった。このページ数で、あまりに寄生するハチのボリュームが多すぎる。妄想してしまう私は、この先ハチがどんどん進化して、人間にも寄生するんじゃないかって、怖くなった(知らん間に卵産みつけられて、皮膚破られてハチが出てくる。エイリアン2を思い出してしまった)。ほとんどのハチはおとなしいと、記述しておきながら、おとなしいけど狡猾で残忍なハチを次々と紹介されている。進化する間に、自然の中で大切な役割をもつようになった。という最後の括り方もなんか好きではなかった。

 お薦め度:★★(妄想癖のある人には★)  対象:
【冨永則子 20211021】
●「ハチという虫」藤丸篤夫著、福音館書店たくさんのふしぎ2021年6月号

 蜂と聞くと刺す恐い虫というイメージが強いが“刺す”のはごく一部にすぎない。最も原始的な蜂の仲間であるキバチやハバチの幼虫は蝶や蛾の幼虫のように植物を食べている。それが他の昆虫の幼虫を餌にするようになったのは間違って植物の中にいた幼虫に卵を産み付けたことが切っ掛けと言われているそうだ。そこから、より効率的に、より栄養価の高い餌を獲得するために体を変化させ、寄生蜂となってほぼすべての昆虫や蜘蛛に寄生する。寄生することで地球上で最も数が多い昆虫類だけが増えすぎないための制御作用となり、それが害虫の駆除にも役立っている。形態を変え進化してきたハチが自然界で大切な役割を担い続けていることが分かる。

 お薦め度:★★★  対象:ハチは恐い!と思っている人に
【西村寿雄 20211020】
●「ハチという虫」藤丸篤夫著、福音館書店たくさんのふしぎ2021年6月号

 ふつうよく目にするハチは、アシナガバチとかスズメバチ、オオスズメバチ だが、それらはうんと進化したハチだ。ハチはもともと植物に産卵し、やがて幼虫など生き物に産卵するようになって進化の道をたどった。最初は植物の皮に産卵することから始まった。体の形も腰のくびれたハチとはずいぶん異なる。そのハチがやがて幼虫などに産卵し効率よく卵を育てるようになった。寄生バチと呼ばれる仲間だ。そこから狩りバチが誕生し、巣に卵を産み付けるアシナガバチ、スズメバチなどが誕生した。ハチの世界の進化の様子が豊富な写真で簡潔に書かれている。

 お薦め度:★★★★  対象:ハチ好きの人
【和田岳 20211010】
●「ハチという虫」藤丸篤夫著、福音館書店たくさんのふしぎ2021年6月号

 ハチって刺すイメージだけど、すべてのハチが刺すわけではないよ。そして刺すとしても、その針は産卵管なのでメスしか刺さないよ。ってところから始まり、ハチ類の主なグループの系統進化を、写真で紹介していく。
 葉っぱや材を食べるハバチやキバチ。他の昆虫の幼虫を食べるようになったヤドリキバチ類。そして、寄生バチ(ヒメバチ、コマユバチ、コバチ)登場。寄生バチは、一番紙面をさいて紹介。続いて、狩りバチの出現、からの社会性狩りバチであるアシナガバチとスズメバチ。一方、狩りバチの中から、植物食に戻ったハナバチ類。その社会性が進んだミツバチ。
 せっかく進化のハチ類の道筋を紹介しているのだから、樹形図の1枚もあれば、読者に全体構成を理解しやすかったと思う。

 お薦め度:★★  対象:ハチの綺麗な写真を見たい人
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