例えばフィールドワーカーと呼ばれる人に、得意とする生き物について尋ねてみるとしよう。きっと、まるで親友か、自分の子供のように、その生きざまを語るに違いない。この本を開くと、ハヤブサを20年観察してきた著者のそんな一面に出会える。片目でも子育てに懸命な母ちゃん、育児よりも食事に夢中な親、お隣とケンカの絶えない後妻などなど、身近な人をみるようにハヤブサを愛情たっぷりに描く。本書を「科学的に書」けなかったと著者はいう。しかし、豊富で緻密な行動描写は、絶妙な写真とあいまって、おのずとハヤブサの生態学を成している。手に取れば、ご自慢のアルバムを前に雄弁を振うフィールドワーカーがあなたの目の前に。
お薦め度:★★★★ 対象:猛禽が好きな人、猛禽が好きな人とはいったいどんな人なのか知りたい人
例えばフィールドワーカーと呼ばれる人に、その人が得意とする生き物の暮らしぶりについて尋ねてみるとしよう。きっと、まるで親友か、自分の子供か、あるいは親兄弟かのように、その生きざまを語りだすに違いない。この本を開くと、ハヤブサを20年観察しつづけた著者のそんな一面に出会える。片目でも子育てに懸命な母ちゃんがいるかと思えば、育児よりも食事に夢中な親がいたり、お隣とケンカの絶えない後妻などなど、人間社会をみるかのようにハヤブサを愛情たっぷりに描く。著者も認めるように、この本の記述は科学的ではないのかもしれない。しかし、豊富で緻密な行動描写は、著者自身の手による絶妙な写真とあいまって、おのずとハヤブサの生態学を構築している。この本を手に取れば、ご自慢のアルバムを前に滔々と見聞を語るフィールドワーカーがあなたの目の前に。
お薦め度:★★★★ 対象:猛禽が好きな人、猛禽が好きな人とはいったいどんな人なのか知りたい人
第一章では、断崖で繁殖するハヤブサの話を。第二章では、観察の楽しみと題してハヤブサのメニューや貯食行動等を。第三章では、都市に進出してきたハヤブサの話。福井市街に現れたハヤブサや金沢の国内で初めてビル街で繁殖したハヤブサ等を。又、補章としてハヤブサ観察の合い間に見た猛禽類を美しい写真で紹介した本。
お薦め度:★★★★ 対象:猛禽の好きな人
野に飛ぶ鳥に名前をつけたことがありますか?「ミセスファルコン」「シティファルコン」と観察する個体に名前をつけていく様に、筆者のハヤブサへの愛情や情熱を伺うことができます。
その情熱に裏打ちされたハヤブサの観察記録はドラマそのものです。片目が潰れたハヤブサのメスの子育て奮戦機や大都会のビルで暮らすハヤブサの話は興味深く読めるものです。
「ハヤブサの生き様は生と死をかけた命の詩」という筆者のことばが心に響きます。
お薦め度:★★★ 対象:猛禽の好きな人
これは1982年に始りほぼ20年に渡る、かっては野鳥の楽園だった福井新港を舞台に生死をかけた野生の命たちの実録、「ハヤブサの詩」である。
休日の総べてを返上してハヤブサを追いかける松村氏のまなざしは、時に被写体の目を獲得する程の熱意で、ハヤブサ学を教えてくれた「ミセスファルコン(片目の雌)」の子育てを、恐妻家の「ブラックフェイス」を活写する。その在りし日の勇姿がこの本の美しいグラビアや生態写真だ。ハヤブサが「渡る鳥」を狙っているのも彼の経験から得られたものだ。群れの小鳥は生け贄を捧げることでかろうじて生き延びれるのだろう。そして生息環境の激変で住処をおわれたハヤブサが、市街地で「シティファルコン」として活路を見い出そうとしているようだ。
人よりははるかに短い命を生きる野鳥たちとの出会いが、ドラマ仕立てに楽しめる一冊の動物文学の趣がある。
お薦め度:★★★ 対象:鳥好きはもちろん、本好きならだれでも
福井県で著者がハヤブサを追いかけた日々をつづった本。
著者は、ハヤブサの研究にまで踏み込んでいたようだが、この本にはデータは示さず、観察日記風にハヤブサのエピソードが並んでいる。論文には盛り込まれないハヤブサの生態や調査のコツなどの情報はもりだくさん。都市に生息する鳥に興味がある人には、福井市に住みついたハヤブサについての調査風景がつづられた第3章は、とても興味深いはず。
文章からは、著者のハヤブサへの愛情が伝わってくる。豊富に使われている写真も美しい。
お薦め度:★★★ 対象:鳥好きの人、とくに猛禽類や都市鳥に興味のある人