友の会読書サークルBooks

本の紹介「ヒトはなぜ病気になるのか」

「ヒトはなぜ病気になるのか」長谷川眞理子著、ウェッジ、2007年5月、ISBN978-4-86310-000-8、1400円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。

[トップページ][本の紹介][会合の記録]


【萩野哲 20140213】【公開用】
●「ヒトはなぜ病気になるのか」長谷川眞理子著、ウェッジ

 進化生物学の目で見ると、ヒトの体には矛盾がたくさん存在する。精管の経路や生活習慣病・・・その理由は、本来あるべき体制や生活から逸脱(進化)してしまったことにあると著者は主張する。本来、人類は進化の過程で飢饉に会うのが常態だったので、食料欠乏に適応した遺伝子=「節約遺伝子」があったのでは?という仮説がある。もしそうなら、現代の先進国のような食料があり余った状態でバクバク食べていたら当然メタボになるだろう。二足歩行に切り替え、脳を発達させて、進化の頂点に立ったように見えるヒトは、その代償として多くのハンディキャップを負ったのだ。一方、これらの負の事例ばかりではなく、ヒトでは、明らかに繁殖が終了した閉経後の女性が孫や親族の子供たちを世話し、彼等の生存率を向上させる(おばあさん仮説)という利点も持っていることも、本書には紹介されているのでご安心を。

 お薦め度:★★★★  対象:ヒト

[トップページ][本の紹介][会合の記録]